卒業列車に復興願い 南阿蘇鉄道沿線の高3「早く全線動いて」

 熊本地震で被害を受け一部区間の不通が続く熊本県の南阿蘇鉄道(南鉄)が14日、沿線にある高森高校の3年生を招いて「卒業列車」を運行した。熊本地震の発生から10カ月。全線再開はなお見通せないが、春に巣立つ生徒たちは車窓に広がる古里の復興を願った。

 3月に卒業する22人でほぼ満員になった一両編成の列車は、同県高森町の高森駅をゆっくり動きだした。観光列車さながらに内川聖司車掌(62)が沿線の名所を案内していく。「阿蘇五岳は全部言える? 県外に出たら友人を案内できるようにならんとね」。車内ではぜんざいが振る舞われ=写真、停車駅ごとに地域住民たちが手を振って出迎えた。

 南鉄は全長17・7キロ。熊本地震で橋やトンネルが大きく壊れ、一時全線が不通になった。昨年7月末に高森-中松(同県南阿蘇村)間の7・11キロが部分的に再開したが、通学時間帯の運行は今もなく、生徒は代替バスで通学している。

 「景色が変わってなくてよかった」。南阿蘇村の飛瀬彩乃さん(18)は地震後初めて乗車した。「課外活動のために夜明け前の始発に乗ると、いつも乗客は私1人だけだったな」。卒業後は熊本市の専門学校に進む。

 生徒たちは千羽鶴を同社に贈った。福岡市の専門学校に進学する後藤隼人さん(18)は「2年後に村に帰ってくる時には全線が動いていてほしい」と願った。

 「通学を支えられずに悔しい気持ちでいっぱい」と内川車掌。生徒の思い出づくりにと7年前から始めた卒業列車も、今年は沿線の半分しか見せられなかった。列車を降りる生徒に内川車掌はエールを送った。

 「地震に負けず新たな人生を歩んでほしい。後輩たちを乗せられるように南鉄も頑張るから」

この記事は2017年02月15日付で、内容は当時のものです。

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