「返還まで諦めない」 対馬仏像「韓国に所有権」判決 島民、日韓交流に影響懸念

 長崎県対馬市で盗まれた仏像を巡る韓国での訴訟で26日、返還が遠のく判決が出された。観光面などで韓国との交流が深い「国境の島」の関係者は、一様に落胆の表情を浮かべた。

 仏像の早期返還を求める文書を韓国政府に送るなど働き掛けを続けてきた観音寺の元住職田中節孝さん(70)はこの日、市内で記者会見。淡々とした様子ながら「(韓国の)浮石寺側が倭寇(わこう)の時代にまでさかのぼって所有権を主張し続けたこともあり、有利な判決になったのだと思う。韓国の裁判所の品格も問われる内容だ」と憤った。

 韓国政府は即日控訴。田中さんは「韓国の対応を見守りたい。所有権はこちらにある。返還されるまで諦めることはない」と強調した。

 毎年夏に同市で開かれる「対馬厳原港まつり」では、朝鮮王朝が江戸時代に日本へ派遣した外交使節団「朝鮮通信使」の行列を再現するのが名物。2013年には盗難仏像2体が返還されないため、韓国側への抗議の意味で行列が中止されたが15年に再開した。

 通信使を巡っては、日韓の民間団体が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に「世界の記憶」(世界記憶遺産)登録に向けて共同申請。昨年の対馬市への韓国人観光客も5年連続で過去最多を更新するなど、交流ムードは高まっていた。今回の訴訟でも返還を探る動きも伝わり「返還も近いと市民一同期待していた」(比田勝尚喜市長)だけに、落胆は大きい。

 朝鮮通信使行列振興会の稲田充会長(60)は「時間はかかってもいずれ返ってくると思っていた。地元で日韓交流をやっている人たちの気持ちが折れないか心配だ」と漏らした。

この記事は2017年01月27日付で、内容は当時のものです。

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