今天中国~中国のいま(15) 「土を食べる」物乞い

 昔ほどではないようだが、北京では物乞いをする人たちを見掛ける。道端や地下通路に座り込んでいたり、地下鉄の中で音楽を鳴らしながら練り歩いたり…。安価とは言えないスターバックスのコーヒーカップを片手に、若者がさっそうと歩く街角にその姿を見ると、格差社会を実感する。

 もっとも、困窮者を使って物乞いをさせる犯罪組織の存在も常識だ。中国メディアの友人に言わせれば「ビジネスと割り切って、荒稼ぎする人もいます」。

 月に1万元(17万円程度)以上稼ぎ、郷里に立派な家を建て、子ども3人を大学に進学させたという「カリスマ物乞い」もいた。この人物の場合、北京のある鉄道駅で十数年物乞いを続け、周辺ではちょっとした有名人だった。あいにく会えなかったが、顔見知りという清掃員は「俺の稼ぎの4倍だよ」と嘆いていた。

 職場近くの道端に「土を食う男性」がいた。服はぼろぼろ、顔も泥だらけ。丼に土を盛り、箸で食べるしぐさをしながら、通行人に施しを求める。時折、街路樹の陰でコンビニ弁当を食べていたので、実際に土を食べているわけではなさそうだが、初めて見る人は同情し、お金を渡す場面も少なくなかった。

 中国の新語に「吃土」がある。直訳すれば「土を食べる」。「独身の日」と呼ばれて通販商戦が過熱する11月11日、買い物しすぎた人が「来月は土しか食べられない」と自分を皮肉ったことから、「すかんぴんで過ごす」という意味で使われるようになったという。

 男性は、新語を体現していたのだろうか。最近、姿を消したのが気になる。 (北京・相本康一)

この記事は2017年02月03日付で、内容は当時のものです。

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