いまどきの学校<48完>教育に新聞を 記事からつながる授業

 「今日の新聞で気になったニュースはありましたか?」

 飯塚市鹿毛馬の市立小中一貫校頴田校の7年生(中1)の教室。中学社会を担当する柴田康弘教諭(39)の授業は毎回このせりふから始まる。

 生徒「ヘリ墜落のニュース」

 柴田教諭「どこで?」

 柴田教諭が手にした朝刊の一面に載っていたのは、長野県で発生した訓練中の消防防災ヘリコプターの墜落写真。事故を知らない生徒に概要を説明すると、その後テーマはニュースから関連した内容に。同県の特産品に注目し、リンゴやブドウの生産量など、地理で必要な知識につなげた。

 続く9年生(中3)の教室では、高校受験に絡めた話題を展開。米国のトランプ政権が貿易協定の枠組みから撤退するニュースをきっかけに、アジアでの経済連携が再注目されている点を指摘し、「中心になるのはASEAN。何の略やった? これ入試に出るばい」と興味を引きつけた。

 柴田教諭が授業で新聞を使うようになったのは、同市立穂波西中に勤務していた約10年前。その前に通った福岡教育大大学院で、新聞を学校教材に使うNIE(教育に新聞を)の取り組みを研究テーマにしたのがきっかけだ。

 前任の飯塚第二中では人名や年号などの暗記中心の授業を行っていたが、詰め込み式では生徒の成績向上につながりづらいと感じていたという。「狙いがなければただの雑談だが、つなげようと意識すればちゃんと教科の学習内容に結びつけられる」と語る。

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 新聞の効果には手応えを感じているが、同教諭によると自宅で新聞を購読しているという生徒は全体の半数程度。そのため、どれくらいニュースを読んでいるか分からずに自ら気になった記事を紹介していたが、同校では昨年12月から、6年生(小6)以上の各学年の教室前廊下に新聞を置いて、生徒の自由な閲覧が可能になった。3月までの特別な措置だが、「生徒が主体的に手を挙げるようになった。気になった記事には付箋を貼るので何に関心があるかも分かる」と話す。

 柴田教諭は副担任を務める7年生の学年通信も担当しており、本年度の発行は203号を数えた。新聞を使った授業の様子なども積極的に紹介しており、保護者から「娘が新聞コーナーで読んだ記事を教えてくれるようになった」と返信があるなど、関心は家庭にも広がっているという。

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 2月に公表された小中学校の学習指導要領改定案(2018年度から先行実施)によると、国語では小学5、6年で新聞などの「複数紙比較」が明記された。中2は新聞などで情報を集め、中3で論説や報道の文章を比較して読むことを求めた。社会科でも小中での新聞活用が盛り込まれた。

 「インターネットで簡単に情報が手に入る時代だが、ニュースを読み解きながら、自分なりの価値判断能力を身につける学習は新聞が最適」と柴田教諭。頴田校のような取り組みが今後筑豊各地に広がることに期待を寄せた。

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 いまどきの学校現場を紹介してきた本連載は今回で終了する。新聞記事が今まで以上に若者たちに読まれることを意識しながら、これからも教育分野のニュースを追い続けたい。

 =おわり

この記事は2017年03月28日付で、内容は当時のものです。

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