シリア支援事業 消されたウェブが復活 報道受け方針転換か

坂本 信博

 日本政府がシリアのアサド政権支配下にある火力発電所の補修・復旧費約25億円を提供している問題で、国連開発計画(UNDP)の公式ウェブサイト上から削除されていた事業計画が8日午前、突如再掲載された。西日本新聞の報道を受け、日本政府が非公開の方針を転換したとみられる。

 菅義偉官房長官と岸田文雄外相は8日午前の記者会見で、「事業計画は既に公表している」と述べ、正当性を強調した。菅氏は同日午後の会見で、公表の仕方は「UNDPのサイト」とした上で「ずっと掲載している」と述べた。

 だが、UNDPのサイトは英語で、日本国民に公表しているとは言い難い。さらに、駐日代表事務所(東京)の担当者は7日、西日本新聞の取材に「11月16日にウェブから下げた(削除した)」と認めた上で、「下げた理由についての回答は差し控えたい」と述べていた。

 事業計画が削除されている事実は、本紙が7日深夜段階まで確認している。ウェブでは、削除と同時にUNDPがシリア国内で実施する事業総数の表示も、それまでの「11」から「10」に変更され、日本政府が関与する事業計画が外されていた。8日にこの数字も「11」に戻っていた。

 「ずっと掲載している」とする菅氏の説明は、こうした事実と明らかに食い違っている。政府がウェブから削除した事実を否定するのは、「隠すようなことはしていない」と主張することで、資金提供の正当性を強調する狙いがあるとみられる。

 事業計画が再びウェブ上に掲載されたことについて、UNDP担当者は「寝耳に水だ。米国の本部に確認したが、現時点では『誰がどういう判断で再掲載したか分からない』という話だった」と述べた。菅氏は記者会見で、政府が働き掛けたのかと問われ「全く行っていない」と否定した。 (坂本信博、豊福幸子)

この記事は2015年12月09日付で、内容は当時のものです。

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