日本が秘密裏にシリア電力支援 専門家の話

坂本 信博

 高橋和夫・放送大教授(中東研究)の話
 米国や日本がアサド政権の退陣を求めるのは内政干渉で、国際法上問題がある。内戦から5年たってもアサド政権は倒れておらず、ロシアが肩入れした今となっては、もう倒れないだろう。米国も引っ込みがつかなくなっている中で、日本がアサド政権とパイプを持ち、影響力を残しておくことは悪くない。日本企業の営利目的の側面はあるが、国際援助はそういうものとも言える。電力支援の情報をオープンにできないことも、米国を刺激しないためには、ある程度理解できる。

 伊勢崎賢治・東京外国語大大学院教授(国際関係論)の話
 シリアでの電力インフラ整備が人道支援に当たるかは、判断が難しい。市民生活や医療機関には電気が必要であり、人道支援とも言えるが、軍需産業や戦争にも電気は欠かせない。人道支援が目的なら、日本の資金で整備する発電所の送電先がどういう地域かを見極め、UNDPに資金提供する際には、病院や民間住宅に最優先で送電することなどの条件を付けるべきだ。単に予備部品を提供しておしまいにせずに、人道援助につなげる努力が必要だ。

 佐藤安信・東京大大学院教授(人間の安全保障)の話
 日本の電力支援が、住民を虐殺しているアサド政権の基盤強化や延命につながり、結果として紛争を長引かせて、貧しい人や弱い人をさらに苦しめてしまう可能性は否定できない。電力が、武器を作るような大工場に流れるのは目に見えている。実際に人道支援に結びついているかどうかの検証が欠かせない。本当に人道支援と言うなら、外務省は税金の使い道について国民にきちんと情報を公開し、国会などのチェックを受けながら計画を進めるべきだ。

この記事は2015年12月08日付で、内容は当時のものです。

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