がん患者に対話と交流を 「がん哲学外来」樋野氏講演

 病気になっても病人になってはならない-。「がん哲学外来」の提唱で知られる順天堂大医学部の樋野興夫教授(63)が福岡市で講演し、がんを告知されて死を意識したときの“生きざま”を説いた。日本人の2人に1人ががんにかかるといわれている。樋野教授は「どんな境遇でも役割がある。困っている人に手を差し伸べて」と呼び掛けた。

 樋野教授の専門は病理・腫瘍学。がんの治療や説明に追われる医師と、がんを告知されて精神的なショックを受ける患者、家族の間に生じた「隙間」を埋めようと2008年、医学部付属の順天堂医院(東京)に「がん哲学外来」を開設した。患者との対話や患者同士の交流を重視しており、「がん哲学」の考え方に賛同する病院や企業、市民有志が自主的に交流の場を設けるなど活動が広がっている。

 樋野教授は「人間には最後に『死』という大切な仕事がある」と表現。「若い時に華やいだ生活をしようが苦しい生活をしようが、人生は最後の5年間をいかに過ごすかで決まる」と指摘し「がんも一つの個性。人間には使命があり、病気でも病人にならない社会づくりが必要」と語った。医師に対しては「患者と同じ目線を」と訴えた。講演会は医療用ウィッグ販売のスヴェンソン福岡サロン(福岡市)が企画し、40人が参加した。

 交流の場は全国に約130カ所開設されており、九州では福岡市3カ所、長崎市と宮崎市に各1カ所。詳しくは樋野教授が理事長を務める一般社団法人「がん哲学外来」のホームページに掲載されている。


 2017/04/30付 西日本新聞朝刊 

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