民衆弾圧「2・28事件」70年 蔡総統、真相解明誓う

 【台北・中川博之】戦後間もなく中国から台湾に渡ってきた国民党の蒋介石政権による民衆弾圧で、1万8千~2万8千人が犠牲になったとされる「2・28事件」から70年を迎えた28日、台湾各地で追悼集会が開かれた。台北市二二八和平記念公園の式典では、昨年5月に誕生した民主進歩党(民進党)政権の蔡英文総統が「加害者が謝罪し、被害者と家族が許す日が来ることを希望する」と語り、真相解明を誓った。

 式典では、嘉義市で医師をしていた父と10歳上の兄を事件で亡くした潘信行さん(75)が思いを語った。貧しい患者を無料で診療していた父は、事件発生後の1947年3月12日、市民を代表して軍との交渉に出かけて逮捕され、2週間後に駅前で公開処刑された。指の爪ははがされてくぎが刺され、絶叫したためか、あごが外れていたという。

 兄は「父を助ける」と言って出かけた翌日、頭を銃で撃たれ路上に倒れていた。母親は他の子どもたちに危険が及ぶのを恐れ、兄の死を「自殺」として処理。1987年まで戒厳令による言論弾圧が続く中、家族同士で事件を語ることはほとんどなかった。

 自宅に戻った2人の遺体を黙々と洗う母親の姿が目に焼き付いているという潘さん。式典で「被害者はいるのに、加害者がいない屈辱の中で生きてきた。今も蒋介石(の銅像)は中正記念堂(台北市)に座り、人々にお辞儀されている。この光景をどう受け止めればいいのか」と訴えた。

 民進党政権による蒋介石の責任追及を警戒する国民党の洪秀柱主席は、式典の前日「70年前に起きた事件を利用し、被害者と加害者を敵視させる政党がある」と声明を出した。これに対し、蔡総統は式典で「台湾の全ての政党、民族が善良な心を持ってつらい過去に向き合えることを期待している」と述べた。

この記事は2017年03月01日付で、内容は当時のものです。

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