地域につながる空間築く 宅老所「よりあい」 特養を計画 自然に移り住める“家”に

交流スペースの前に立つ村瀬孝生さん(右から2人目)たち 拡大

交流スペースの前に立つ村瀬孝生さん(右から2人目)たち

誰もが集える「いちにちカフェ」でお年寄りと話す都郷なびさん(左から2人目) 「絹の会」で着物のリフォームを教える木下絹江さん(右から2人目) 子どもたちにパン作りを教えるスチュワート・イーストさん

 住み慣れた地域で生きるお年寄りを支える宅老所「よりあい」(福岡市)が、特別養護老人ホーム(特養)の建設に乗り出した。本人本位で制度の枠にかかわらず支援する「よりあい」が目指すのは、独居で認知症が進んだりして在宅が限界になったとき、抵抗感なく自然に移り住める“家”だ。専門職だけでなく住民やボランティアなど地域にネットワークを広げながら、安心できる環境を築いている。

 福岡市内に2カ所の通所などの施設がある「よりあい」は昨年4月、同市城南区別府に3カ所目を新設。隣接する古い民家と敷地(約2120平方メートル)を運営の理解者の募金などで購入した。この支援者は市民グループ「よりあいの森をつくる会」を設立。必要になった際にお年寄りが移り住める居場所をつくるため、まず、民家を住民との交流の場に改修した。毎週土曜日、互いに持ち寄った食材などで「いちにちカフェ」が始められ、経費を差し引いた売上金を建設資金に寄付している。

 敷地内に樹木が多く、森のような民家は都会のオアシスといった風情。近所の人が楽しみに来店するようになり、「支援が必要では」という気になるお年寄りの相談も持ち込まれる。資金づくりのバザーなどに来店した人が趣旨に賛同して「できることを」とボランティアを買ってでることも。子どもからお年寄りまで集える空間が育っている。

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 今月初めの「カフェ」は福岡県福津市のまちづくり団体メンバーが担当。「よりあい」のお年寄りと客が一緒にくつろいだ。福津市の都郷なびさん(31)は「ここは効率を求めるのでなく、人を大事にしている。私たちの活動にも通じる」と刺激を受けた様子。

 最初はバザーの客だった木下絹江さん(71)=福岡市早良区=は、着物をリフォームして販売益を寄付する市民グループ「絹の会」の指導役になった。高校時代に障害者になった次男を支え「いつか人の役に立ちたいと思っていたことが実現できる」と約10人のメンバーに指導中だ。材料は、長年お年寄りが身につけた着物が多く「大切な思いがよみがえるお手伝いができる」と笑顔を見せる。

 デンマークで児童ソーシャルワーカーだったスチュワート・イーストさん=福岡市城南区=もカフェに来たのを契機に、子どもたちのパン作り教室を開く。「ここでは、お年寄りの姿が見える。地元の人と触れ合える」と語る。人々が多様につながって応援する特養は、福岡市に認可されれば2015年春に開所予定だ。

 ●谷川俊太郎さん招き慈善演奏会 9月7日、福岡市で

 「よりあい」の特養計画を応援する「みんなで老人ホームをつくるぞ!」チャリティーコンサートが9月7日午後1時半から、福岡市早良区の西南学院大チャペルで開かれる。詩人の谷川俊太郎さん=写真=と「よりあい」代表の村瀬孝生さんが対談。谷川さんと音楽グループ「DiVa」のコンサートもある。

 入場料3500円。定員650人(先着順)。8月23日締めきり。申し込みは電話で「よりあい」=092(845)0200。ホームページ(http://yoriainomori.com/)に詳細。


=2013/08/15付 西日本新聞朝刊=

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