銀座から2駅 昭和な空間 佃の井戸ポンプ 「水の恵み」列島フォトリレー

 ぐっと力を入れ、持ち手を何度か上下に動かすと勢いよく水が出る。手を差し出した子どもたちが歓声を上げた。「珍しいとは思うけれど、ずっとあるから特別な感じはしない」と近所に住む生田旭君(11)。

 つくだ煮発祥の地と言われる東京都中央区佃。江戸時代に漁師たちが利用したとされ、昭和に入ってポンプ式に代わった井戸が路地裏や軒先にある。近隣に高層マンションが立ち並ぶが、一帯は再開発を免れ、空襲を生き延びた木造住宅や井戸が残った。

 終戦直後は飲み水に利用されたこともあるが「今は植木にやったり、顔を洗ったりかな」と井戸の一つを管理する折本正通さん(83)。しかし、各地で相次ぐ震災をきっかけに、非常時の備えとして手動のポンプは見直されつつある。

 銀座から地下鉄で2駅。銭湯や駄菓子屋が点在し、ザリガニ捕りができる公園もある昭和な空間は、観光資源としても貴重だ。先人が守り抜いてきた井戸は、いくつもの恩恵を佃の町にもたらしている。
(写真と文・池田まみ=東京新聞)

   ◇   ◇

 西日本新聞と友好紙による列島フォトリレー。生活に密着した水をテーマに、各地の「水の恵み」を紹介します。

 2017/06/06付 西日本新聞夕刊

PR

連載 アクセスランキング

PR

注目のテーマ