「当たり前」って何? 高校生が対話イベント 福岡市 あいさつ運動、座席の譲り合い… 多世代の視点で問う常識

「当たり前って何だろう」をテーマに、高校生と大人が話し合った「こどなひろば」。それぞれの意見をカードに書き、模造紙に貼り付け、討論した 拡大

「当たり前って何だろう」をテーマに、高校生と大人が話し合った「こどなひろば」。それぞれの意見をカードに書き、模造紙に貼り付け、討論した

 ■くらし天気図■ 
 「当たり前」って何だろう‐。そんなテーマで高校生と大人が語り合う対話イベントが4日、福岡市内であった。世代を超えた対話を深めようと、高校生が自主企画した。「あいさつは大切だけど、学校のあいさつ運動は必要?」「バスの中では席を譲るのは当たり前?」「学校の昼休み、勉強するのが当たり前?」。学校や社会の「常識」を、多世代の視点から問い直してみると、そうでもなかったりする。

 イベントを企画したのは、福大大濠高校(福岡市)3年生の住野博史さん(17)。高校生グループ「こどなひろば九州支部」の支部長を務める。「こどな」は、「子ども」と「大人」を組み合わせた造語。グループ誕生の経緯はこうだ。

 東京の女子高校生がある日、電車内で「最近の高校生は何も考えていない」と、大人がぼやいているのを聞き、「世代や立場を超え、もっと自由に話す機会があればいい」と思った。インターネットの短文投稿サイト「ツイッター」でつぶやいたところ、賛同者が広がり昨年2月、関東で「こどなひろば」が結成された。

 住野さんは、「起業」などの言葉でネット検索をしていて、この活動を知り、昨年5月に九州支部を立ち上げた。これまで「子ども時代」「夢」「今と昔」「家族と社会」などをテーマに、対話イベントを開いた。関西、中国地方にも支部が結成されている。

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 この日は、地元の高校生のほか、学校運営を支援する年配の男性、介護職の女性、就職活動中の大学生、生徒の母親たち計20人が参加。3グループに分かれ、それぞれが疑問に思っている「当たり前」をカードに書き、大きな模造紙に類型化しながら貼っていった。

 多くのグループで、まず出てきたのが「あいさつ運動」。多くの学校が、秩序、規範づくりの一歩として、取り組みに力を入れる。高校生からは「みんながしているから、やっているだけ」「先生に対しては完全な義務」。大人からも「校内だけの運動にとどまっているのではないか」と、厳しい意見が相次ぐ。やがて、ある女子高校生の「あいさつの後、会話につなげないと意味ないよね」の言葉に、みんなうなずく。

 あるグループは「バスの中で席を譲るのは当たり前?」で盛り上がった。高校生の多くは、車内で年配の人を見かけ、席を譲ったのに断られた経験があるという。高齢者や弱者の線引きは難しい。健康のために座らない人もいる。悩みは高校生も大人も共通だったが、大人からは「でも、行動してみることは、大切なことだよ」。

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 「昼休み、勉強するのが当たり前?」では、クラスによって正反対になるという。「三度の食事は当たり前?」で、ある女子高校生は「部活や塾で帰宅は午後9時。朝昼はしっかり食べるけど、夜は食べない」。大人たちが知らない高校生の姿ものぞいた。

 「学校や家庭、職場によって、それぞれの枠内で常識がある。国によっても違い、時代によっても変わってくる。だからこそ、人への気遣いや、気持ちを伝え合うって大切」。各グループの発表では、そんな意見も出された。

 このイベントを機に支部長を引退し、受験勉強に入るという住野さんは「高校生たちだけで話すと、面倒、つまらない、ナンセンスといった話の流れになるが、大人と一緒に話すと、議論が前向きになって、面白い」。親や大人を意識することで、高校生たちの言葉や視点も形作られていくようだった。

 ◇こどなひろば九州支部のホームページ http://kodona-kyushu.jimdo.com

 ●先生たちも自問を

 これは本当に良いことなのだろうか、子どものためになるのか‐。学校で取材をしていると、私もそう感じることがある。

 多くの小中学校では昼休み、生徒たちが黙々と掃除に当たっている。「黙々掃除」「黙働掃除」などと呼ばれる。私語を控え、作業に集中することで、自覚や規範意識が芽生える、というのが学校側の説明だ。

 しかし、もっと緩やかな時間帯であってよいのではないかと、思ったりする。一緒に掃除をしながら、元気のない同級生に声を掛けたり、普段は話さない生徒と話すきっかけになったり…。導入の背景には、おしゃべりと掃除の両立の難しさや、目に余る秩序の乱れなどがあったのかもしれないが、一律管理・指導の側面が強すぎて、私には何とも不自然に映る。

 「当たり前って何だろう」。その問いかけは先生たちにも求められている。


=2013/08/20付 西日本新聞朝刊=

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