【こんにちは!あかちゃん 第8部】「産後うつ」と向き合う<番外編>妻の支え方、夫も悩む

母親の手を握る生まれたばかりの赤ちゃん。夫もまた、産前から親になるスタートを切ることになる 拡大

母親の手を握る生まれたばかりの赤ちゃん。夫もまた、産前から親になるスタートを切ることになる

 ●一緒に戸惑い 一緒に喜ぶ どちらも当事者
 
 生活面のシリーズ企画「こんにちは!あかちゃん」の第8部として、6~10日に連載した「『産後うつ』と向き合う」。掲載中、読者の皆さんから体験談や感想が寄せられました。その中で目立ったのが、夫との関係に悩む声。心身ともに不安定になりがちな産前産後の妻と、夫はどう向き合っていけばいいのでしょうか。番外編として考えてみました。

 〈授乳などで眠れなくても、仕事に行く夫と子どもの弁当を作り…〉

 〈夫は朝早くから夜遅くまで仕事。早く帰ってきても上の子を叱ってばかり〉

 産後うつを発症して3年になる福岡市の30代女性から届いたお便りには、自身の体験がつづられていた。

 夫とは子育てに対する価値観が合わず、家事や育児がのしかかり、近所の母親仲間とも疎遠になって〈毎日が孤独〉だったという。それでも〈夫の味わった生活を子どもたちにさせてはいけない〉と自分を奮い立たせてきた。夫は〈育児放棄や虐待が日常的だった家庭〉で育ったそうだ。だから逃げ出せない。

 しかし、そんな気持ちが空回りし始める。〈私なんかいない方がいい〉と自分を責めるようになり、精神科を受診した。今も抗うつの薬を飲み、不安定な気持ちと付き合いながら子育てをしているという。

 彼女のように産前産後の時期、夫との関係に悩む女性は少なくない。では夫はどう感じているのだろう。

 連載の取材を通して知り合った佐賀県鳥栖市の看護師、谷口忠さん(42)も仕事柄、出産前後に女性の体のホルモンバランスが変化することや産後うつに関する知識は持っていたが、実際に直面すると戸惑った。

 出張が多く、家にいる時間が少ない中、妻の体調が悪いときは子どもの弁当を作ったり、寝かしつけたりと、自分ではベストを尽くしたつもりだった。それでも「もっと一緒にいられる時間を増やしていたら、妻の負担を減らせたのだと思うと、今でも申し訳ない気持ちになる」と振り返る。

 連載5回目で登場した福岡市の会社員、吉村美香さん(33)は、夫でカウンセラーの伊織さん(33)に話を聞いてもらい、つらい時期を乗り越えられた。

 だが、当時の伊織さんはどう支えていいか分からず悩んでいたという。家事をしたり、まめに連絡したりする一方で、妻を気遣うあまり自身の悩みを打ち明けられず、ストレスをため込んで体調を崩してしまう。

 初産の場合、夫にとっても出産に臨むのは初めての体験だけに「悩んでいいんだと分かっていれば、自分も気持ちが楽になったと思う。体調の変化に一緒に戸惑ったり、おなかの子の成長を一緒に喜んだりすることで、出産前から親としてのスタートを切るんだと思いました」と話す。

 出産の「当事者」は妻だけではない。言うまでもなく、夫にも当事者意識が欠かせない。

 このほか、寄せられたお便りには、さまざまな意見があった。

 連載では、産前産後のケアに関して、当事者以外の関心が低いという現状にも触れた。これについて、ある女性は〈仕方がないのでは〉とつづっていた。彼女は〈子どもを産みたくても産めなかった立場〉だという。〈子どもから得られる喜びや楽しみは当事者だけのもの。それならば、多少の苦しさを感じることも仕方ないのではないでしょうか〉と疑問を投げ掛ける。

 一方、産後ケアの充実を求める意見もあった。福岡県内の主婦(32)は出産後、不安や疲労、睡眠不足に見舞われた。〈産後がこんなにつらいとは誰も教えてくれなかった〉。実母が働いていたので夫の実家を頼ったが、気を使ってめいってしまったという。

 彼女は〈核家族化、晩婚化で必然的に高齢の両親に頼れない現実やさまざまな事情でニーズがある。母体をゆっくり休めながら赤ちゃんへのケアも指導してもらえる所が必要だと思う〉と提案していた。

=2013/08/24付 西日本新聞朝刊=

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