「食品ロス」減らそう 業界ルール 見直しの動き 欠かせぬ 消費者の意識改革

「フードバンク九州」理事長の村中さん宅には、食品メーカーから送られた清涼飲料水や菓子の入った段ボール箱が山積みされている=福岡市南区 拡大

「フードバンク九州」理事長の村中さん宅には、食品メーカーから送られた清涼飲料水や菓子の入った段ボール箱が山積みされている=福岡市南区

 まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」。加工食品メーカーや卸売り、小売業者が8月から、食品業界のルールを見直す「実証事業」に乗り出した。飽食ニッポンを象徴する大量の食品廃棄は「もったいない」という倫理面だけでなく経済的損失も大きい。どうすれば減らせるのか-。業界の自助努力だけでなく、消費者の意識改革も必要だ。

 NPO法人「フードバンク九州」(福岡市南区)理事長の村中久美子さん(34)の自宅一室に段ボール箱が積み上げられている。山が低くなることはない。

 中身は、賞味期限が迫った清涼飲料水、新製品と入れ替えられた菓子、印刷ミスがあるカップ麺など。食品・飲料メーカーが「売ることができない」と判断した品々だ。捨てられる運命の商品をメーカーが村中さんに無償で届けている。

 フードバンク九州では、これらの食品を児童養護施設や困窮家庭に無償提供。取り扱う量は年間約40トン。受け入れきれずメーカーの申し出を断ることもある。

 「日々の食べ物に困っている人がいる一方で、食べることができる食品が大量に捨てられている。矛盾を感じます」と村中さんは首をかしげる。

 「食品ロス」-。売れ残って廃棄された食品や飲食店での食べ残し、家庭で捨てられた食材などを指す。農林水産省によると国内では年間500万~800万トンが発生(2010年度推計)。12年の日本のコメ収穫量約850万トンに迫る。

 そうした中、国内の加工食品メーカー、卸売り、小売りの計35社が8月から食品ロスの削減を目指して「3分の1ルール」と呼ばれる食品業界の慣習を見直す試みに着手した。

 この商慣習は1990年代に始まったとされる。例えば賞味期限が6カ月の場合、3分の1の2カ月目が小売店への納品期限、3分の2の4カ月目が販売期限となる。納品期限までに納品できなかったり、販売期限までに売れなかった商品は、返品や値引き、廃棄となる。卸からメーカーへの返品は出荷額ベースで年間1139億円。小売店から卸も417億円に及ぶ。

 実証事業では、3分の1ルールのうち、納品期限を一部の菓子と飲料で見直す。納品期限を3分の1(賞味期限6カ月なら2カ月目)から2分の1(同3カ月目)に延ばし、どれだけ食品ロスが減るか確かめるのだ。

 事業に参加するコンビニ大手のファミリーマート(東京)は「食べ物の無駄を解消するだけでなく、余計な返品業務も減らせる。供給システムの効率化や経費節減につながる」。事業の事務局を務める公益財団法人「流通経済研究所」(東京)は「半年ほど実施し、効果が見られれば納品期限の延長を広く呼びかけたい」としている。

 食品ロスの一因だった商慣習の見直し。ただ、大量の食品廃棄を止めるには消費者の理解も欠かせない。

 「消費者向けの食育を通して、どうすれば食品ロスが減らせるか知らせることも大切」と日本大の清水みゆき教授(食料経済学)。賞味期限はカップ麺など保存のきく食品が「おいしく食べられる期限」。弁当など傷みやすい食品が「安全に食べられる期限」を示す消費期限とは異なる。

 「賞味期限の意味や、3分の1ルールで食品が無駄になっていることを消費者が理解すれば、賞味期限が近い食品を敬遠しなくなるのではないでしょうか」と清水教授は指摘する。

 世界の食料生産量の3分の1に当たる13億トンが毎年廃棄され、地球規模で穀物需給が切迫する中、食品ロスの削減は国際的な課題。「もったいない」という言葉の発祥地・日本が、世界をリードすべきだろう。

=2013/08/28付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ