成長戦略 「女性の活躍促進」どう実現? いまだ根強い役割意識 男性も働き方見直して みんなで分担する社会へ

子どもに字の書き方を教える権藤光枝さん。「みんなが両立できるために何が必要かを考えて」と語る=福岡市博多区の認可外保育所「リトルワールド」博多ぎおん園 拡大

子どもに字の書き方を教える権藤光枝さん。「みんなが両立できるために何が必要かを考えて」と語る=福岡市博多区の認可外保育所「リトルワールド」博多ぎおん園

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 政府が成長戦略の一つに「女性の活躍促進」を掲げ、役員・管理職への積極登用や待機児童の解消などを打ち出している。裏返せば、男女雇用機会均等法の施行から27年を経た今も、活躍の場が限られているということだ。さまざまな問題を乗り越えてキャリアを築いてきた女性2人に、活躍促進に向けた課題を聞いた。

 「保育所を整備して待機児童を解消したからといって、女性が働きやすくなるわけではありません」。福岡市内の4カ所で認可外保育所「リトルワールド」を運営する権藤光枝さん(40)は、政府の成長戦略に働く女性の視点が乏しいと感じている。

 20代で離婚した権藤さんは、元夫の借金を返すため仕事を掛け持ちして娘を育ててきた。直面したのは、保育所の時間に合わせて仕事を選ばないといけない現実だった。

 やりたい仕事を続けながら子育てができない。「女性だけが選択を迫られる根底には『育児は女の仕事』という役割意識がある」。そんな現状に疑問を感じて24時間保育を始めた。

 安倍晋三首相は成長戦略の中で、企業に対して「3年間抱っこし放題」を実現する育児休業の拡充を要請した。これについても「両立が難しいから子育てに専念させようというのであれば、全くの逆行。みんなが両立できるために何が必要かを考えるべきです」と強調する。特に育休については、企業規模が小さいほど取得率が低いという現状もある。権藤さんは「9割以上を占める中小企業を変えてこそ日本は変わる」と国の施策を求める。

 仕事に家事、育児もこなす「スーパーウーマン」だけが活躍する社会から、みんなで分担、両立する社会へ-。内閣府男女共同参画推進連携会議メンバーでもある権藤さんは「ようやく『社会的決定の場』に女性が入り始めた。変わるのはこれからと期待したい」と話している。

 そこで、既に「決定の場」で活動している女性にも課題を聞いてみた。

 九州の地方議会で定数が最も多い福岡県議会の議員、堤かなめさん(52)は「男性も含めて働き方を見直さない限り、進展は望めません」と指摘する。以前に比べて女性活用の必要性が理解されるようになったことは歓迎しつつも「子育てや介護の心配がないなど条件の整った人しかチャレンジできず、男性と同等に働く“名誉男性”の女性が増えただけ」と実感するからだ。

 実際に、内閣府の男女共同参画白書(2013年版)によると、女性管理職が1割未満の部門がある企業は全体の約79%に上っている。働く女性の約3割が結婚を機に、約4割が第1子の出産とともに離職し、管理職を担える人材が限られることが背景にある。

 政治の現場でも女性の声はまだ小さい。福岡県議にしても、定数86のうち、女性は4人(4・7%)。過去30年間で5人を超えたことはない。全国の都道府県議では8・7%、国会議員も11・3%(いずれも12年末現在)にとどまる。

 「女性議員を増やすには選挙制度から変えないと。例えば午前8時~午後8時の選挙運動は普通に生活している女性には厳しいが、ほとんどの男性は疑問さえ感じない」。そして、このまま政治や行政、企業幹部に一部の女性しかチャレンジできない状況が続けば、女性間の格差も広がっていくことが懸念される。堤さんは「女性が分断されているのも、課題解決が遅れている一因」と話している。

=2013/08/31付 西日本新聞朝刊=

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