〈論説委員の目〉夏休みを延ばしてもいい

 うるさいほど鳴いていたセミが地面に転がり、アリがそれを引っ張っている。夏休みも終わりに近づいた。

 学校がもうすぐ始まる。子どもたちは新学期を楽しみにしている。でも学校のことを考えるだけで胸がどきどきしたり、おなかが重苦しい感じになったりしている子どももいるんじゃないか。

 もし君がそうだったら、今からこのおじさんの言うことを聞いてほしい。

 君が学校に行きたくない理由は何だろうか。いじめられている。仲間から無視されている。部活の先生が君ばかり叱る。勉強や運動が思うようにできず、親や周囲の期待に応えられない自分が嫌になっているのかもしれない。どれもつらいだろう。

 おじさんが心配しているのは、毎年学校が始まる9月1日に、日本全国で自殺する子どもたちがたくさんいるからだ。学校が嫌だ、だから死にたい、と考えてしまう。こんなに悲しいことはない。

 君が本当にそれほど学校に行くのが嫌なら、いい考えがある。夏休みを延ばしてみたらどうだろう。

 もちろん君が勝手に延ばすのだ。1日でも1週間でも、学校に行ける、と思う日まで。親に本当の理由を話したくないのなら、病気になったと言えばいい。学校に行くふりをして、例えば図書館に行くのもOKだ。

 そんなのずるい、と思うかもしれない。でも、大人だって結構ずるをしている。実はおじさんもうそをついて会社を休んだことがある。

 君が生きている世界はまだ狭い。だからそこに嫌なやつがいると大変だ。でも、16歳とか18歳とかになると、君の世界は急に広がる。ちょっと工夫すれば、嫌なやつと関わらずに生きていけるようになる。学校以外の場所で勉強もできる。これは本当だ。

 もう一つ。大人に相談するのは嫌だろうけど、子どものころ君と同じ気持ちだった大人もたくさんいる。そんな大人が、君たちを心配していることも忘れないでほしい。

この記事は2016年08月28日付で、内容は当時のものです。

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