【海外の見方】韓国、痛恨の記憶 特攻隊員には朝鮮半島出身者も

 特攻隊員には日本統治下の朝鮮半島出身者もいた。その足跡を追った韓国紙記者の著書「私は朝鮮人カミカゼだ」によると、朝鮮人隊員の戦死者は17人。韓国にとっては、加害者側になって若い命を散らせた痛恨の記憶だと言える。

 17人は「日本の植民地支配の犠牲者」だが、それにとどまらない。家族を養うためとはいえ、多くが志願入隊だったため、「日本の侵略戦争に加担した親日売国奴」と批判される。

 それを象徴する「事件」が2008年に起きた。韓国通で知られる女優の黒田福美さんが、ある朝鮮人特攻隊員の慰霊碑建立を計画。遺族の理解や地元自治体の協力を得て完成させたが、除幕式直前に抗議運動が起き、撤去した。

 もっとも、生き残った元隊員は、戦闘機の操縦技術を持つ人材として国の発展に寄与。韓国空軍に転じ「朝鮮戦争の英雄」「韓国航空産業の父」になった。

 隊員の遺書などを世界記憶遺産にする構想に、韓国政府は特にコメントしていないが、「国家のために個人の死を当然視する作戦を美化する」(ハンギョレ新聞)などの批判がある。

 一方、中国政府は、「日本軍国主義による侵略の歴史を美化し、世界反ファシズム戦争の成果と国際秩序に挑戦しようとしている」(華春瑩外務省副報道局長)と警戒。歴史資料や公文書などを保管する中央〓案(とうあん)館などは、旧日本軍による南京大虐殺と従軍慰安婦をめぐる資料などを記憶遺産に登録するよう申請する動きもみせている。


=2014/07/29付 西日本新聞朝刊=

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