【御三家筆頭 尾張徳川家の至宝】<5>国宝 源氏物語絵巻 平安期の美の極致

国宝「源氏物語絵巻」から「横笛」(平安時代・12世紀、徳川美術館蔵) 拡大

国宝「源氏物語絵巻」から「横笛」(平安時代・12世紀、徳川美術館蔵)

 国宝「源氏物語絵巻」は、徳川美術館でも1年に1度、数点しか公開されない貴重な絵巻。本展ではこの至宝を1場面2週間ずつ、計4週間にわたり限定公開する。

 源氏物語絵巻は紫式部が著した「源氏物語」を絵画化した最古の作品。平安時代、12世紀に当時の宮廷を中心に制作された。研ぎ澄まされた感性による絵画表現、装飾された料紙にしたためられた美麗な書など、原作の雰囲気を最もよく伝える。

 最初に展示される場面は「横笛」。光源氏の長男、夕霧は、亡き親友、柏木の妻、落葉宮に恋心を抱く。落葉宮から柏木の遺品の笛を贈られて帰宅した夕霧の夢に亡霊となった柏木が現れる。眠っていた乳児の若君が亡霊におびえて泣きだし、夕霧の妻、雲居雁(くもいのかり)が髪を耳に挟んで自ら若君に乳をふくませる。いずれも平安時代の身分のある女性がする行為ではなく、緊迫した様子が画面から伝わってくる。

 夕霧の浮気に気づいていた雲居雁は「どなたかが夜深い月を愛でて格子を上げるから物怪が入ってくるのですよ」とあてこする。落葉宮を月に例えて浮気をとがめるのも平安貴族らしい奥ゆかしさか。

 会期後半には、玉鬘(たまかずら)の2人の娘たちが庭の桜の所有権をめぐって碁を打つ華やかな場面を描く「竹河(二)」が展示される。平安時代の美の極致をじっくりと会場でご覧いただきたい。

(九州国立博物館主任研究員・酒井芳司)

 ◇「横笛」の展示期間は27日まで、「竹河(二)」は11月12~24日。


=2013/10/18付 西日本新聞朝刊=

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