【人の縁の物語】<38>命の輝きに魅せられて 写真家・宮崎雅子さん NICU題材に写真集

 出生のドラマを撮り続ける長崎市出身の写真家、宮崎雅子さん(57)=東京。出産の現場だけでなく、新生児集中治療室(NICU)にも足を運んできた。前編(8日付)に続き、命と向き合う彼女の思いを追う。

 初めてNICUを訪れたのは、福岡県久留米市の聖マリア病院だった。行くまでは、どこかに「赤ちゃんがお母さんと離れてかわいそう」との思いがあった。

 実際に足を踏み入れて驚いた。包み込むような温かい雰囲気。何より、懸命に生きようとする赤ちゃん一人一人が、たまらなくかわいかった。

 NICUに通う家族にも、悩んだり苦しんだりしているのに不思議とあまり悲愴(ひそう)感はなかった。それは、医師や看護師に「赤ちゃんは家族のもの」との思いがあり、治療室と家族を隔てる距離を少しでも縮めようと努めてくれているからだと、宮崎さんは感じている。

 全国の病院5カ所で撮影し、写真集「NICUのちいさないのち-新生児集中治療室からのフォトメッセージ」(メディカ出版)にまとめた。

 撮影後に亡くなった子もいた。その子の母親から「写真が残っていないので分けてもらえませんか」と連絡をもらうと、写真の持つ力をあらためて感じた。

 写真集には医療者からメッセージも寄せられている。「仕事は年々要求が高くなり厳しさを感じるが、赤ちゃんたちの何げないしぐさやかわいい寝顔、生きようと頑張る姿に励まされる」「『救えた命と救えなかった魂』にいつも向き合っています」…。そこからは新生児科医や看護師たちが厳しい仕事に悩みながらも、懸命に生きる赤ちゃんに多くのことを教わり、奮闘する姿が見えてくる。

 宮崎さんは「全ての命を救えなくても、NICUで救われる命がたくさんあることも知ってほしい」と願う。

 11月10日には、長崎県助産師会が長崎市で主催する研修会で市民公開講座とミニ写真展を開く。

 出産と赤ちゃんの写真を撮り続けて27年。今は「命というものと写真がいろいろな人たちと出会わせてくれた」と感謝する日々だ。そんな宮崎さんにとって命とは、産むこととは-。

 「ずっと考えてきたけれど、まだ答えは出ないです。写真を見た人と一緒に考え続けたい」

 ◇公開講座は午後1時20分から。会場は長崎市伊王島町の長崎温泉やすらぎ伊王島。参加無料。事務局=095(850)0866(ファクスのみ)。


=2013/10/22付 西日本新聞朝刊=

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