身元保証 人生の終盤に備える 緊急時の対応 日頃の想定を 代行サービス「えにしの会」に聞く

 単身高齢者など身寄りのない人が、医療機関や介護施設への入院・入所時に求められる身元保証人を確保できず、苦慮する事態にどう対応するか。全国11事業所で身元保証代行サービスを提供する一般社団法人「えにしの会」(本部・福岡市)の笠井久仁彦・福岡事業所長(47)と鎌田拓磨相談員(26)に現場の状況を聞いた。

 -身元保証の代行とは、具体的にどんなサービス?

 笠井 身元保証人に求められる利用料の滞納の保証、緊急時の駆け付けなどを代行する。会のサービスは身元保証人を引き受ける「身元保証支援」(25万円)、日々の暮らしを手伝う「生活支援」(1時間2500円など時間制)、危篤時や死亡時に対応する「万一の支援」(10万円)、「葬儀支援」(20万円)など。利用者はこれと別に入会金5万円と月会費3千円を負担し、必要な支援を選ぶ(費用は福岡事業所の例)。身元保証人に死亡時の対応を求められたら「身元保証支援」や「万一の支援」を利用してもらう。

 -利用者はどんな人?

 笠井 親族がいない人、いても高齢な人、子どもが遠方にいる人など、ほとんどが高齢者。医療機関や介護施設、地域包括支援センター、ケアマネジャーから連絡が入り、契約することが多い。

 -業務で難しい点は。

 鎌田 利用者に介護が必要になると、施設の空き状況を調べて入居を手伝う。会が本人と一緒に入居先を考え、身元保証人になって入居手続きや施設との打ち合わせをする。本来なら親族がする役割。本人にとって最もいい選択は何か、考えるのは難しい。

 笠井 利用者の生計が厳しいと、急な出費で介護施設利用料などを滞納することがある。その際は会が立て替え、本人と原因や改善策を話し、施設に説明する。退所にならないよう理解を得るのは大変だ。滞納分を会が全額負担したことも。また、行政などから紹介された人で、支援が必要でもサービスを受けたがらない人もおり、理解を得る苦労もある。生活歴や支出傾向、蓄えの面で契約が難しい人は行政の公的サービスにつなげている。

 -手術などの医療行為が必要になった際の対応は。

 鎌田 契約時、延命治療や医療行為をどうするか書面で意思表示してもらっており、これを基に医師と話し合う。本人に意識がないと、最も慎重になる。

 -「身寄りがない」「親族に頼れない」という人はどんな注意が必要か。

 笠井 終末期を考えることは残りの人生を有意義に過ごすこと。1人で考えず、人生の終盤を託す人、その方法を決めておいてほしい。私たちのような事業者でも地域包括支援センター、福祉・医療関係者でもいい。相談してほしい。

 鎌田 利用者は「身内との関係が悪い」と思っていても、私たちが親族に連絡するとそうでもないことがある。日常的な支援は無理でも、医療行為の同意で親族が関わってくれることも。一度、連絡してみるのも一つの方法だと思う。

 ●誰が、どう担うか 高まる役割とニーズ さまざまな試み

 身元保証を代行する民間サービスは各地で広がっている。少子高齢化で、家族単位で完結するのは限界との見方があり、ニーズは今後も増えそうだ。いざというときの役割を誰が、どう担うのか。行政や社会福祉協議会など公的な団体でも、解決に向けた動きが出てきた。

 NPO法人きずなの会(本部・名古屋市)は2001年に身元保証サービスを始めた。利用者は5千人弱で、70代が多いという。

 身元保証と日常生活支援、葬送支援をパッケージで提供し、料金は約190万円。半分ほどが葬儀や納骨、生活支援のための保管金で、余ると相続人に返す。

 利用者の約4割は低所得者。料金を全額納付する前に亡くなり、法人負担で葬儀などを担うこともある。担当者は「事業を続けるのが一番の課題」と話す。

 きずなの会やえにしの会は外部の弁護士などが会計を管理して透明性を高めている。一方で民間事業者の中には、利用者の預託金を流用したとして経営破綻に追い込まれた団体があり、料金体系もまちまち。内閣府消費者委員会は消費者被害が生じているとする建議を出し、国は利用時の手引書を作った。行政の窓口で入手でき、参考にしたい。

 身元保証人がいなくても、その役割を地域で分担することで入院・入所できるようにする試みもある。

 愛知県半田市は、入院・入所費の支払いや死亡時の対応などに当たる人をそれぞれ決める支援シートを作り、医療機関や介護施設に配っている。身寄りのない人が入院・入所を希望すると、本人と関係機関が記入し、万一の事態に備える。

 伊賀市社協(三重県伊賀市)は、身元保証人がいない人の個別支援プランを作る構想を進める。社協が成年後見制度や民間保険、行政サービスなどの既存制度を本人に利用してもらい、入院・入所に必要な条件をクリアする。その上で社協と本人が医療機関などと協議し、利用につなげるという。

 2019/01/23付 西日本新聞朝刊

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