性同一性障害の子 どう向き合う? 16日、福岡市でフォーラム

フォーラムに向けてパンフレットの発送準備をする椎太信さん 拡大

フォーラムに向けてパンフレットの発送準備をする椎太信さん

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の子どもたちにとって、学校生活は心身の負担が大きく、いじめや不登校につながるケースも少なくない。そんな現状を知り、親や教師がいかに向き合うかを考えるフォーラムが16日、福岡市博多区の博多市民センターで開かれる。当事者団体「gid.jp 日本性同一性障害と共に生きる人々の会」の主催。

 GIDの子どもたちは、男女別の制服や声変わり、月経など体の性別を意識させるものに強い苦痛を感じるという。ジェンダークリニックのある岡山大病院の調査によると、受診者約1450人のうち、約6割が自殺を考えたことがあり、3割が自傷や自殺未遂を経験。3割が不登校になったと回答している。

 GIDの子どもをめぐっては、2010年に文部科学省が都道府県教委などに対し、教育相談を徹底して本人の心情に十分配慮した対応をするよう通知。女子を男子、男子を女子として通学を認めるケースも出てきた。しかし、偏見や差別によって苦しい状況に置かれている子どもはまだまだ多いという。

 フォーラムでは、岡山大病院の精神神経科助教の松本洋輔さん、ジェンダーセンター長で教授の難波祐三郎さん、大阪医科大精神神経科准教授の康純さんの3人が、GIDの概要や子どもへの対応、医学的治療などについてそれぞれ講演。GID当事者と家族や制服変更に携わった元教員による体験談、GIDについて学んでいる小学校の授業実践例の発表もある。

 フォーラムは午前11時から午後5時まで。終了後に懇親会もある。資料代千円(高校生以下無料)。定員500人。9日までに事前申し込みをした場合は軽食付き。申し込みは事務局にメール(meeting-kyushu@gid.jp)で。

    ×      ×

 ●「知って、寄り添って」 当事者の椎太さん 30年前と同じ悩み いまも

 「gid.jp」はこの春、九州支部を設立したばかり。支部長としてフォーラムの準備に奔走する椎太信さん(42)も当事者の一人だ。「30年近くたっても、子どもたちは同じ悩みで苦しんでいる。周りの大人たちが正しい知識を持ち、子どもたちの言葉に耳を傾けてほしい」と話している。

 物心ついた時には、自分は男だと思っていた。スカートは嫌いで、ヒーローごっこに夢中。「おちんちんはいつか生えてくる」と信じていた。小学3年の時、将来の夢にプロ野球選手と書いたら「女はなれないのに」と笑われ、初めて「女なんだ」と理解した。

 中学、高校は制服の下にジャージーをはいて登校した。第2次性徴で膨らむ胸が嫌で、体を傷つけた。「あいつは同性愛者だ」とうわさされ、靴やかばんを隠されたこともある。「自分はおかしいんだ。一生、女を演じるしかない」と考えていた。卒業後は旅行会社に就職して添乗員になったが、化粧とスカートが苦痛で辞めた。

 周囲にカミングアウトしてホルモン注射を始めたのは、25歳ごろ。声が低くなってひげも生え、ようやく自分らしく生きていけると思った。しかし、現実は厳しかった。

 見た目は男でも、戸籍上は女。就職はなかなか決まらず、ようやく働きだした会社でも上層部に性別を知られて「特殊な人は困る」と首になったこともある。35歳で「子」のつく名前を改名し、生きやすくなった。

 数年前から「gid.jp」でスタッフとして活動している。その中で、性同一性障害の認知度が高くなった今も、子どもたちの悩みはほとんど変わらず、時には自ら命を断ってしまうこともあると知った。「不登校や引きこもりが、将来の低学歴、低収入にもつながっている」とも感じている。

 最近は「子どもが学校でカミングアウトしたがっているが、対応が分からない」といった親からの相談が増えているという。「名前の呼び方を変えるだけで、その子の苦しみが軽減されることもある。まずはきちんとGIDについて知って、学校と一緒に何ができるかを考えてほしい」


=2013/11/02付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ