「ダメ出し」戦略は奏功するか

木村 貴之

 「ダメ出しをお願いしたのに お褒めもいただき 涙しました。」

 6⽉下旬の新聞朝刊に、⾚い太⽂字のコピーが紙⾯の真ん中に躍る全⾯広告が掲載された。背景には⼩さな⽂字がぎっしり書き込まれている。

 広告主は宅配ピザチェーン⼤⼿「ドミノ・ピザ・ジャパン」(東京)。営業に関する要望や意⾒を店に伝えれば、Lサイズのピザが全品半額になる割引企画「愛のダメ出しクーポン」を、福岡地区限定で4〜5⽉に展開。⼩さな⽂字は、その企画で寄せられた750件超の声全⽂だった。

 企画の狙いは、福岡での営業強化にあった。同社広報担当者によると、業界トップの売上⾼を誇るが、福岡の地域⼀番店は地場⼤⼿「ピザクック」(運営会社・イワタダイナース=福岡市)。企画では「福岡で⼀番の宅配ピザは…ピザクック様に違いない」と明確に名指し。地場強豪に「少しでも近づくため」と消費者に“ダメ出し”を求めた。

 その声を⼀部紹介しよう。

 「味も早さもすばらしいのですが、クーポンがないと⾼く感じる」(⼥性20代)

 「通常価格を下げたほうが良いと思う」(男性40代)

 「他店よりサイズが⼩さい。同程度の⾦額なら他店を選び ます」(⼥性50代)

 「⻭をみせて、ニカッと笑顔を⾒せて下さい」(⼥性20代)

 「配達時間が40分と聞いていたが、20分で来て少し困った」 (男性20代)

 「⽀払いの時はおつりを前もって準備してほしい」(男性20代)

 「1⼈でも気軽に⾷べられるランチメニューやセットがあれば良いかも」(男性20代)

 「地元の素材のピザを作ってほしい。福岡県産⼩⻨、明太⼦、⽷島産のチーズなど」(⼥性40代)―。

 激励の声も少なくない。

 「僕はマルゲリータが1番 好きです。⼤変おいしいです。次も注⽂します。よろしく」(男性・年代不明)

 

 「打倒!!○○○○○ 頑張って」(男性30代)

 

 「い つまでも美味な、そして清潔なピザを私たちに提供してください。応援しています」(男性60代以上)―。

 

 メッセージはざっと数えて2万8千字ある。その下の欄で謝意に続き、「ドミノ・ピザ3つのド」と銘打った新戦略を宣⾔。消費者の声を受け(1)九州産素材を使った福岡限定ピザの発売(2)福岡地区でのスタッフ接客強化イベントの実施(3)通常価格の⾒直し(⼈気商品『ドミノ・デラックス』Lサイズなら従来の3240円から2800円に値下げ)や「お⼀⼈様メニュー」の開発(福岡を含む全国展開)―を挙げる。

 

 今回の広告では、競合相⼿を名指ししていないが、広報担当者に聞くと「ピザクックさんに対するライバル⼼は今もめらめらと燃えています。新戦略に込めるのは『追いつき追い越せ』の精神。これは宣戦布告です」と勇ましい答えが返ってきた。

 

 全国的な宅配ピザ激戦区となった福岡。⼀⾵変わったドミノ・ピザの戦略は奏功するのだろうか。

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