「テレワーク」誰でも 出社せず仕事 情報管理など課題

自宅で集中して資料作りに取り組む松村美由紀さん。「在宅勤務で心に余裕が生まれます」と話す 拡大

自宅で集中して資料作りに取り組む松村美由紀さん。「在宅勤務で心に余裕が生まれます」と話す

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 出社しないで仕事をする「テレワーク」が注目されている。ITを使った場所や時間にとらわれない働き方で、東日本大震災を機に交通機関がまひした場合などの危機管理として関心が高まった。自宅で仕事ができるので、介護や育児との両立を後押しすると期待される。一方で、情報漏えいの心配や人事考課の難しさといった課題もある。

 午前8時すぎ。自宅のパソコンから業務内容をまとめた「始業メール」を送信する。資料作りをしていると、同僚からメッセージが届いた。「Aさんに電話をしてください」。携帯電話ですぐに連絡をとる。

 佐賀県庁に勤める松村美由紀さん(38)=福岡県柳川市=は週1回ほど、テレワークをしている。長男(6)と長女(4)の保育所の送迎も含めると、通勤は片道1時間以上かかる。在宅のまま働けば、昼休みに夕食の下ごしらえができるなど家事の効率も上がり、子どもと触れ合う時間を増やすことができるという。

 県庁職員に制度が導入されたのは2008年。当初は育児や介護中という要件があり、約3千人の職員のうち、利用者は10人程度だった。09年には災害や新型インフルエンザで出社できないケースに備え、誰でも利用できるようにした。

 さらに今夏からは、便利さを実感してもらおうと、課長以上は強制利用に。その結果、現在は約260人に拡大。8割以上は男性で、年内には職員の半数にまで広がる予定だ。

 総務省の通信利用動向調査(12年)によると、テレワークを導入する企業は11・5%。導入しない理由として「適した仕事がない」「評価が難しい」「費用がかかる」などが挙がり、情報管理面でも懸念がある。佐賀県ではどうか。

 職員課の武藤あゆみさん(29)によると「外で可能な業務と、セキュリティーなどの観点から持ち出せない業務を仕分けしており、大きな不都合は生じていません」。在宅業務の内容や成果を上司に報告し、評価にも反映させている。

 取り組みの背景には「少子化で労働人口が減少する中、介護離職も増え、これまでの働き方では組織としてやっていけなくなる」(武藤さん)という将来への危機感がある。一方で「出勤して当たり前」という固定観念も根強く、意識改革が浸透への課題という。

 中小企業の場合、導入の理由はもっと現実的だ。情報誌の製作などを手掛けるミューズプランニング(熊本市)は昨年春から取り入れている。社員は15人で、大半は女性。子育て中の人が多く、仕事との両立を会社が支援しなければ、業務が滞ってしまうからだ。

 木村麻子さん(31)も育児休業から復帰した今春以降、たまに在宅勤務を利用している。「職場の人数が少ない分、子どもの体調不良や行事で休むと迷惑をかけてしまう。家でも仕事ができるので精神的に楽です」とメリットを実感する。

 今後、テレワークが広がるには-。一般社団法人・日本テレワーク協会(東京)の主席研究員、今泉千明さんは「外回りが多い営業職も取り入れることができる」と提案する。導入にはIT環境の整備が不可欠だが、最近は導入しやすい安価なシステムも登場しているという。今泉さんは「テレワークによって働き方を見直すことが、企業側にとっても生産性の向上やコスト削減につながります」と話している。

=2013/11/09付 西日本新聞朝刊=

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