もはや「永遠のテーマ」? 西鉄貝塚線と地下鉄箱崎線、直通する日は来るか

 先月、ひそかに乗り物好きの耳目を引いたニュースがある。福岡市の東部を走る西鉄貝塚線(旧宮地岳線)と福岡市営地下鉄箱崎線の直通構想に関する新たな話題だ。

 福岡市が示した案はこうだ。

 両線を走ることができる6両編成の新型車両を導入。地下鉄と西鉄を一体化させた貝塚駅で、その新型車両は2両編成と4両編成に分離・連結する。2両編成が貝塚線を走ることで、2両編成に対応している西鉄の駅を改修する必要がないという。

 貝塚線と地下鉄の直通を巡る議論の歴史は古い。1971年、運輸省(当時)の都市交通審議会で地下鉄箱崎線の新設が盛り込まれた当時から、宮地岳線との直通運転を検討する必要性が明記されていた。

 それから47年――。構想は検討され続け、議論は採算性や運行形態をめぐって一進一退を繰り返してきた。

 福岡市政を担当していた4、5年前も、関係者の間では「まだやっとるとか」「もはや『できん』理由を探しよる状態」などとささやかれていた。そして昨年1月には、唯一黒字化が見込まれる直通化案案が、「かえって利便性の面では悪くなる」との試算が示された。

 そんな中、今回出てきた新型車両案。驚きにまかせて、始めたばかりのツイッターでつぶやいたところ、フォロワーが極めて少ないにも関わらず意外に多くリツイートされた。やっぱり、直通化への関心は、今なお高いのだろう。

 議論の盛り上がりは、香椎副都心の整備、アイランドシティの建設といった街づくりの波と軌を一にしてきたようにも感じる。今、沿線では九州大箱崎キャンパス跡地の大規模再開発が予定。香椎の土地区画整理事業も継続している。

 話は少し跳ぶが、博多大丸がバレンタインデーに合わせて発売した西鉄とチロルチョコのコラボ商品が人気だ。パッケージに鉄道駅やバス停を採用している。

 昨年、鉄道としてデザインが作られたのは天神大牟田線だけだった。だが今年は、くしくも貝塚線が登場。担当者は「貝塚線パッケージへのお客さまの期待が大きかった」と話す。

 売場に向かったが、貝塚線10駅のうち、千早、香椎花園、和白、新宮の4駅は売り切れていた。周りでは「津古(西鉄天神大牟田線)あった!」「箱崎のバス停がない…」など、女性客が贈り物そっちのけで楽しんでいた。乗り物好きの私も、つい童心に返ってしまった。

 一時は乗降客数の下落が続いた貝塚線だが、2011年以降は上昇に転じてじわじわと増えており、新たな街づくりで地域がさらに活性化する可能性がある。とはいえ巨額の費用を必要とする事業に、慎重な判断はもちろん欠かせない。

 直通化の機運は、再び盛り上がるのだろうか。記者としてはもちろんだが、少年時代に香椎駅近くの学習塾に通ったり、香椎宮前駅近くのゲームセンターでカツアゲに遭ったりした遠い記憶がある1人の貝塚線ファンとしても、この「永遠のテーマ」に注目している。

 

地下鉄箱崎線と西鉄貝塚線の直通構想のあゆみ(本紙の過去記事から)

1971年 都市交通審議会が高速鉄道路線について「都心部から箱崎方面に至る路線」の新設が必要と答申

1981年 「将来的に輸送需要の増加が見込めない」として貝塚駅での乗り継ぎ方式を選択

1986年 地下鉄箱崎線が全線で開業

1989年 九州運輸局長の諮問機関が直通運転を課題として提示

1992年 当時の福岡市交通事業管理者へのインタビューに、直通運転への言及はなし

1997年 福岡市と西鉄が直通運転(香椎まで)実現へ検討を始めることで合意(当時の記事には「2003年ごろの開業を見込む」)
※橋本尚之西鉄社長(当時)は「採算上の問題もあったが、香椎副都心整備事業などが進み、この時期を逃しては事業化困難と判断した」

2001年 市と西鉄の協議が「地下鉄がアイランドシティまで乗り入れる。西鉄は現行通り、貝塚止まり」としてまとまる

2003年 明石博義・西鉄社長(当時)が会見で「話は進んでいるが、まだ採算的に難しい」

2007年 新宮(福岡県新宮町)―津屋崎が廃止。「宮地岳線」から「貝塚線」に名称が変更

2010年 福岡市が、直通運転について「三苫−中洲川端」と「三苫−天神」の2案を検討

2012年 福岡市が「投資に対する効果は低く、直通化は困難」とする試算

2017年 福岡市が「黒字化が見込まれる案では利便性が低下する」との試算

2018年 福岡市が、貝塚駅で分離・連結する新型車両を導入して初期投資額を抑える新案

福岡県の天気予報

PR

PR

注目のテーマ