「強みを磨こう」と背中を押されて悩む

 自己啓発系の本にほとんど手を出したことがなかった。正直に言うと少し興味はあったが、「ハウツー本の世話になりたくない」と強がってきた。

 「まあそう言わずに」と前の職場で先輩に手渡されたのが、「自分の強みになりうる潜在能力の源泉が分かる」というテスト「ストレングス・ファインダー」を試せるベストセラー本。巻末に購入者専用のコードが付いていて、サイトで入力し、分析する仕組みだ。

 世論調査や組織コンサルティングで知られる米国のギャラップ社が人材育成のために開発。「弱みを改善するよりも、強みを生かすことで最大の能力を発揮する」という考え方に基づいているという。取りかかるのが少し恥ずかしく、半年間そのままにしていた。

 居酒屋ではしばしば、その席にいない同僚や上司について論評しているグループの会話が耳に入る。それだけで焼酎のボトルを1本空ける方々も少なくない。

 小中学生のころ「信長の野望」や「三国志」といったシミュレーションゲームに興じた私も、編集局内の同好の士と、同僚たちの「武力」や「政治」、「魅力」の値はどれぐらいだろうという話をしたことがある。「あの先輩は突破力もあるし人にも敬愛される『関羽』やね」といった具合に、思った以上に盛り上がった。一方、自分は特筆すべき点のない「ぼちぼち」の武将だと納得した記憶がある。

 閑話休題。冒頭で触れたストレングス・ファインダー、今回の人事異動を機にやってみた。質問は177問あり、例えば「1人でいる方がいい」「友人と過ごす方が好き」といったような選択肢が2つずつ示される。そして自分に当てはまる方はどちらか、そしてそれがどの程度当てはまるかを選ぶ。そして34の資質のうち、自分の中で大きく占める五つが示される。

 約30分かけ回答した結果、私の「特徴的な資質」は▽共感性▽原点思考▽コミュニケーション▽ポジティブ▽着想――と出た。そしてそれぞれの資質に関する詳細な解説もあった。正直ピンとこないが、まったく思い当たらないでもない。そして「あとはこれを磨くことであなたの強みになる」という。

 書籍によるとこれらの資質は「過去30年にわたる200万人強のインタビュー」から導き出されたという。さあ、これをどう仕事に生かすか。思いつかない。そもそも生かせないんじゃないか。あれ、着想がないし悲観的だ。ただ、自分を客観的に示される心地よさは感じた。SNSでよくシェアされる「診断コンテンツ」が企業にとって効果的なマーケティング手段になっているのもうなずける。

 上記五つの「資質」はどう強みにしたらいいものか。自分磨きの道のりは長い。ぼちぼち、やっていくしかない。

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