九州をオリーブ産地に 収穫本格化 栽培法確立が鍵

オリーブ畑で実の収穫を終えた九州オリーブ普及協会の会員とオリーブ大学の受講者=熊本県荒尾市 拡大

オリーブ畑で実の収穫を終えた九州オリーブ普及協会の会員とオリーブ大学の受講者=熊本県荒尾市

 九州でオリーブの収穫が本格化してきた。3年ほど前に各地で苗木が植えられ、実を付ける樹齢を迎えつつあるのだ。実を搾って作るオリーブ油の生産も次々と開始。栽培に手間がかからないオリーブは定年退職後の生きがいづくり、地域おこしにつながると期待される。国内の生産量はまだわずか。九州の新たな特産品に育つ可能性も秘める。

 10月下旬、熊本県荒尾市の山あいのオリーブ畑で、収穫期を迎えたオリーブの実が手で摘み取られた。畑の持ち主は鶴田清さん(44)。一般社団法人「九州オリーブ普及協会(KOA)」(福岡市)の会員だ。KOAの「オリーブ大学」で栽培法を学ぶ受講者ら約40人が収穫を体験。2時間で245キロの実が採れた。

 鶴田さんは3年前、30アールの畑に150本の木を植えた。昨年、初めて60キロを収穫。「今年は最終的に600キロ収穫できた」と喜ぶ。

 KOAは2009年、定年退職後の団塊世代の生きがいづくりに取り組んできた古賀直樹代表理事(65)らが設立。国内最大のオリーブ産地、香川県・小豆島で栽培やオイル生産を手掛ける企業に「温暖な九州で育ててみては」と提案されたのがきっかけだった。オリーブはミカンなどより栽培の手間がかからないため「高齢者の働く場がつくれる」と古賀さんは考えた。

 KOAは本場イタリアの企業と提携して苗木を輸入。会員に栽培法を教えている。発足4年で会員は130の個人と団体に増え、九州7県の約60カ所で4万5千本を栽培している。実が付き始めた昨年、福岡県那珂川町にあるKOAの苗木農場のそばに、オリーブの搾油機を設置。試験的に500キロの実を搾った。今年は九州各地の会員から約2トンの実が集まり、180キロのオリーブ油ができた。年内にも200ミリリットル3500円前後で販売する。

 KOAの古賀さんは「会員の7割は農業をしたことがなかった。各地で耕作放棄地が問題になっているがオリーブ栽培が広がれば、農業の新たな担い手が増えるし、九州の地域おこしにもなる」と熱く語る。

 九州ではほかに、熊本県天草市でも市や農協、企業がオリーブ振興協議会を10年に設立。1万6千本を栽培している。このうち九電工の天草オリーブ園では、昨年の収穫分からオリーブ油の販売を開始。今年は43キロが搾れたという。

 九州はオリーブ産地に成長することができるのか。香川県農業試験場小豆オリーブ研究所の柴田英明・主席研究員は「九州は雨が多いのが心配」と指摘する。年間降雨量はオリーブ産地のイタリアが600ミリ、小豆島は1100ミリ。九州は2千ミリ前後も降る。

 「実が太る夏に高温多湿なので病気が懸念される。水分が多いと風味も低下する」と柴田さん。「九州に合った品種や、水はけに配慮した栽培法を確立することが成功のカギになる」と指摘する。

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 【ワードBOX】オリーブ油の輸入量

 オリーブ油は主にイタリアやスペインから輸入されている。2011年の3万8千トン、12年4万8千トンと増加。今年は9月時点で4万1千トンに達しており、初の5万トンの大台に乗る見込みだ。背景には、健康志向の高まりで、悪玉コレステロールを減らすオレイン酸などを含むオリーブ油が好まれていることがある。一方、国内のオリーブ油は、オリーブ産地の香川県・小豆島で主に作られ、生産量は年間10~20トンにとどまる。輸入量に占める割合は、多い年でも0・05%程度しかない。


=2013/11/27付 西日本新聞朝刊=

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