ネット公売に禁止のウミガメ剝製? 長野の村 官公庁オークション出品

友好紙

 「長野県豊丘村でウミガメの剥製が公売されています」。埼玉県の男性から信濃毎日新聞「声のチカラ」にこんなメールが届いた。この男性から同様の指摘を受けた豊丘村は8月、自治体や官公庁向けのネット公売サイトに「見積額千円」で出品したカメの剥製1点を、落札前に取り下げたという。何が問題だったのか-。取材を続けると、効率的に税滞納の回収ができるネット公売の「落とし穴」が浮かんできた。

 村が出品したヤフーの「官公庁オークション」からは既に画像が消え、村税務会計課は剥製を返却。現物は確認できなかった。村によると村内の税滞納者から差し押さえたが「そもそもウミガメなのか、本物の剥製なのか判断できる職員もいなかった」という。

 環境省によると、ウミガメ科は「種の保存法」で国際希少野生動植物種に指定され、原則、譲渡や取引は禁じられる。剥製も規制対象だが、野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約に日本が参加した1980(昭和55)年以前に取得し、国の登録機関から「個体登録票」をもらえば譲渡可能な物もある。ただ村はこうした手続きも取っておらず、担当者は「認識不足でした」と悔やむ。

 自治体や国税局などが差し押さえた物件を売却する官公庁オークションは2004年に開始。滞納回収の手段として広がり、長野県や県内市町村も車や貴金属、家電などさまざまな物件を出品している。

 ただ、種の保存法との関係で問題となるケースは過去にも。08年には長野県小諸市がやはりウミガメとみられる剥製を「見積額5万円」で出品し、動物保護団体から指摘を受けて取り下げた。

 ヤフーが運営する一般向けオークションサイト「ヤフオク!」は、専任スタッフが24時間態勢で出品物を監視。違法性が高いと判断した場合は削除し、関係機関に連絡している。だが官公庁オークションは「法令順守が前提」として同様の態勢は取っていないという。行政が関わる場で、かえってチェックが甘くなるとすれば皮肉だ。

 今回メールを寄せた埼玉県の税理士、大林茂樹さん(53)は、ネット公売で野生動物の剥製などが扱われること自体に批判的だ。「希少価値のある剥製などは、公売を通じ反社会的勢力の資金源になる懸念がある。違法取引を助長する恐れもあり、国際的な理解も得られないのではないでしょうか」

 (信濃毎日新聞・渡辺麻友)

【ワードBOX】種の保存法

 正式名は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」。1993年に施行された。野生動植物保護のワシントン条約などと連動し、指定した希少野生動植物種の販売や譲渡などを原則的に禁止。個体だけでなく剥製や毛皮といった加工品も対象で、違反した場合は懲役や罰金の罰則がある。

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