遺伝子組み換え食品安全か 海外で栽培拡大、輸入の大半に 表示制度 あいまい

遺伝子組み換えの菜種と思われる植物を抜く市民団体のメンバーら=福岡市東区の箱崎埠頭 拡大

遺伝子組み換えの菜種と思われる植物を抜く市民団体のメンバーら=福岡市東区の箱崎埠頭

 遺伝子組み換え(GM)食品が身の回りで増えつつある。生物の種を超えて開発されたGM作物を原料としており、人体に有害でないか不安を感じる市民もいる。国や研究者は「一般の食品と同じように安全」とするが、食品表示の義務がないケースもあり、消費者には分かりにくい現状がある。

 11月、福岡市の博多港・箱崎埠頭(ふとう)の路上。約40人が路肩に繁った雑草を一本一本手で抜いていた。市民団体「食と農を考える市民の会・福岡」や「グリーンコープ生協ふくおか」が行ったGM菜種の除去作業だ。

 博多港にはカナダから輸入された食用油原料のGM菜種が荷揚げされる。飛散した菜種の自生を防ごうと毎年実施。今回は5千本以上を抜き取り、簡易検査器具で8検体を調べると、7検体が除草剤で枯れないGM菜種だった。市民の会の外井京子代表は「GM菜種が在来の菜種や白菜と交雑して悪影響を与えないか心配だ」と懸念する。

 害虫や除草剤に強く、低コストのGM作物は海外での栽培が広がる。独立行政法人「農業生物資源研究所」によると、菜種は2012年、カナダなどから240万トンを国内に輸入、うち93%がGM菜種だった。02年、208万トンの55%からすると急増している。米国などからの輸入トウモロコシも02年に1641万トンの26%がGMだったが、12年は1489万トンのうち77%をGMが占める。国内の自給率が低いため、流通量の大部分がGM作物になってしまっているのだ。

 GM食品は、国の食品安全委員会の専門調査会の研究者が審査。従来の作物と比べ安全性に問題がないと判断したものを厚生労働省が公表している。

 GM食品に反対する市民団体「市民バイオテクノロジー情報室」(東京)の天笠啓祐代表は「微生物などの遺伝子を導入し、食べた害虫が死ぬような作物を長期間食べ続けて、本当に人体に悪影響はないのか。新たなタンパク質もできるはずだ」と疑問を呈する。

 これに対し、元専門調査会委員で東大大学院の山川隆教授(植物バイオテクノロジー)は「種を超えて遺伝子が移ることは自然界でもある。毒性がないか、アレルギーを起こさないかなどを徹底的に調べている」と強調する。

 一方で山川教授は「安全と安心は違う。市民の方が未知のGM食品に不安を持って当たり前」とも言う。

 市民がGM食品を避けようとしても、食品衛生法などに基づくGM食品の表示制度があいまいで判断できないこともある。例えば菜種油やしょうゆ、液糖(トウモロコシが原料)などは「DNAやタンパク質が除去、分解されている」との理由で、GM作物が原料でも表示義務はない。また大豆、トウモロコシは、GMが混ざらないよう適正管理が証明されれば5%以下のGM混入で「遺伝子組み換えでない」と表示できる。

 GM食品に反対する天笠代表は「GM食品に不安を持つ人のために、GM作物が含まれている可能性がある場合、必ず表示するべきだ」と指摘。しかし、現在交渉中の環太平洋連携協定(TPP)で、米国がGM食品の表示義務自体の撤廃を求めてくる懸念もあり、交渉の行方が注目される。

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【ワードBOX】遺伝子組み換え作物

 ある特徴を持つ微生物などから取り出した遺伝子を組み込む「遺伝子組み換え(GM)技術」で作った農作物。「除草剤で枯れない」「食べた害虫が死ぬ」などの性質がある。国が食品として安全性を認めたGM作物はジャガイモ、大豆、テンサイ、トウモロコシ、菜種、綿、アルファルファ、パパイアの8作物(283品種)。国内でGM作物は商業栽培されていない。主に大豆、トウモロコシ、綿、菜種を輸入している。1996年に米国で本格的な商業栽培が始まった。

=2013/12/04付 西日本新聞朝刊=

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