法律婚だけなぜ? 東京都の結婚エピソード募集 事実婚など除外

友好紙 夕刊

 「いろんな夫婦、集まれ」。そんなキャッチコピーで、東京都が2人の出会いや結婚の決め手となったエピソードを募集した。ところが、応募を試みた事実婚の女性から「法律婚以外は対象外と伝えられた」と東京新聞「ニュースあなた発」に情報が寄せられた。「これって、都が目指す多様性社会なの?」。そんな疑問に都はどう答えるのか。

 女性は、葛飾区の団体職員上田めぐみさん(42)。2013年に男性会社員(47)と挙式したが、婚姻制度に違和感があり、仕事上、姓が変わると困る事情や相手の姓も変えたくないと、事実婚を選んだ。今春、長男が誕生。都の広報紙でエピソード募集の案内を見つけ、「誰かの参考になれば」と応募しようとした。

 ところが、都の応募フォームには婚姻届提出日の入力欄があり、来年1月1日までに婚姻届を提出した人が対象。納得がいかず、都に確認もした。

 募集チラシには「夫婦のカタチも幸せのカタチも人それぞれ」「自分らしさを大切にしている夫婦のエピソードを募集」とある。

 上田さんは「都がライフスタイルの多様性を理解して事業をしていると思ったのに、がっかり。『いろんな夫婦』というなら、事実婚でも、同性カップルでもいいはず」と話す。

 エピソード募集は、来年に向けた都の「ダイバーシティ 政策の柱5 誰もが活躍できるまち」の事業の一つ。結婚応援イベントなどを含めた結婚支援事業全体の本年度予算は6千万円に上る。応募締め切りは「いい夫婦の日」の今月22日。5人の選定委員が選んだ100作品をイラストにし、サイトで公開する。

 都の調査では、34歳以下の未婚者の約8割が「いずれ結婚するつもり」と回答。田中正之・都民活躍支援担当課長は「この事業は結婚を希望しながらも、一歩を踏み出せないでいる人への後押しが目的」と説明。事実婚を対象外にしたことは「多様なパートナーシップを否定するものではないが、募集は対象を明確にする必要があり、現行の法制度に基づき、社会一般に広く共有されている法律婚に限った」と話す。

 都内では渋谷区や世田谷区など、同性カップルを公的に承認する「パートナーシップ制度」の導入も増えているが、田中課長は「それぞれの自治体の判断であり、現状、都のパートナーシップ制度もない」と説明する。

 しかし、来年の東京五輪・パラリンピックは、基本コンセプトに「多様性と調和」を掲げる。都は昨年10月、五輪憲章の理念実現を目指す人権尊重条例を制定し、LGBTなど性的少数者への差別も禁止した。

 早稲田大の棚村政行教授(家族法)は「今回の事業は法律婚に限定する必要性を感じられない。都は事実婚や同性婚など新しい家族を排除している。自らの人権尊重政策に反し、国際的な差別禁止・人権尊重の潮流にも逆行する」と指摘している。

 (東京新聞・奥野斐)

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