突然五輪マラソン「道民十色」「東京思うと喜べぬ」 

友好紙 夕刊

 札幌開催が決まった2020年東京五輪のマラソン・競歩。北海道新聞の「みんなで探る ぶんぶん特報班」が、無料通信アプリ「LINE」などで通信員登録する読者らに札幌開催について意見を募ったところ、回答者68人のうち、半数以上の37人が開催に反対だった。札幌市民35人に限ると、6割強の23人に及んだ。生活への影響や国際オリンピック委員会(IOC)の強引な進め方に反発しており、賛成者の多くも複雑な受け止めだ。

「公園、大学…暮らし制約」

 「市民が知らない間に、暮らしや街の文化に制約が加えられてしまう」。札幌市豊平区の翻訳業の女性(42)は、札幌開催に不安を募らせる。発着点となる見通しの大通公園は、市民が楽しみにするビアガーデンの会場でもあり、影響を懸念している。女性の母校の北海道大もマラソンコースになる可能性が高く、学業への影響も心配している。

 女性は10月下旬にインターネットで札幌開催に反対する署名運動を始め、約2週間で道内外の約700人分を集めた。署名はIOCに提出したいという。「具体的な説明がないまま負担の大きい五輪を受け入れていいのか、考えるきっかけになったら」と願う。

 北大関係者からも声が寄せられた。競技日程は来年7月下旬から8月上旬の間で調整が続くが、「期末試験、大学院入試などが重なる時期」と同市西区の北大大学院生、西本優樹さん(36)。警備などによるキャンパス内での活動への影響を懸念する。IOCが強硬な姿勢で札幌開催を決めたことに不信感があり、「意思決定のプロセスに問題がある。市長も受け入れを即答できる案件とは思えない」と指摘した。

「地元を世界へアピール」

 札幌開催に賛成の意見は全体で4割の29人。札幌市民に限ると3割の11人。札幌市白石区の男性会社員(60)は「北海道を世界にアピールできる」と喜ぶ。ただ、急転直下の決定のため、「東京で待ちわびていた人たちのことを考えると、素直に喜べない」(釧路市の男子高校生)など賛成派も思いは複雑だ。

 IOCは札幌移転を暑さ対策の「選手ファースト」と強調するが、札幌市中央区の無職の男性(61)は「コースも日程も調整に手間取っていて、しわ寄せが選手に来てしまう」と言う。IOCは巨額の放映権料を払う米テレビ局の意向で、夏の開催を譲らないとされる。同市白石区の会社員、庄司岳彦さん(49)は「気候が穏やかな時期なら東京開催で問題なかったはず。五輪商業化の功罪の罪の要素が洗い出されたのではないか」と受け止める。

 五輪にかかる経費への抵抗感も強い。江別市の年金生活者の男性(66)は「日々の生活がやっとの身で、別にどこで開催しようが、遠い世界。税金が使われるなら喜べない」と訴えた。

 ただ五輪は平和の祭典。課題山積だが、札幌市中央区の主婦(40)は「複雑な心情。でも、やるとなったなら、みんなが嫌な思いをせず、平和に開催されてほしい」と願っている。

 (北海道新聞・野呂有里、門馬羊次)

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