言葉や態度による精神的暴力 「モラハラ」 心むしばむ 認識しにくく深刻化 周囲が気付いて 福岡県で講演会

「多くの人にモラハラへの理解を深めてほしい」と話す井上摩耶子さん 拡大

「多くの人にモラハラへの理解を深めてほしい」と話す井上摩耶子さん

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 言葉や態度などで人を傷つける精神的暴力「モラルハラスメント(モラハラ)」。身体的な暴力や性的嫌がらせに比べて認知度が低く、表面化しにくいとされる。家庭、職場、友人関係でも起こりうることから、専門家は「暴力は殴る、蹴るだけではないと理解し、社会全体で考えなくてはならない」と指摘する。

 「心の傷は体の傷と同じように、ときにはそれ以上に、痛いのです」。11月に福岡県春日市であった講演会。NPO法人・日本フェミニストカウンセリング学会で代表理事を務める井上摩耶子さん(74)が講師となり、モラハラの具体例や問題点を解説した。

 井上さんによると、何をやっても非難する▽「誰のおかげで生活できるんだ」などと怒鳴る▽友人との付き合いを制限する▽無視する-などが具体例。繰り返されるうちに相手の顔色をうかがい、おびえるようになる。モノのように扱われて人格を否定され続けるとうつ病や自殺に追い込まれるケースもあるという。

 一方で「怒られるのは自分が悪い」と罪悪感を抱く人も少なくない。反抗や自立ができなくなり、正常な判断力を奪われて逃げる発想すら起こらなくなる。逃げたらもっとひどくなるという不安も悪循環を生んでしまう。井上さんは、モラハラの恐ろしさを「被害者自身が気付きにくいこと」と強調していた。

 講演会を企画したのは、NPO法人・博多ウィメンズカウンセリング。ドメスティックバイオレンス(DV)やセクハラなどの相談に応じる中で、最近はモラハラに関する悩みが増えているという。

 内閣府が2011年度に実施した「男女間における暴力に関する調査」では、配偶者から精神的な嫌がらせや恐怖を感じるような脅迫といった「心理的攻撃」を受けた人は14%だった。その一方で「何を言っても長期間無視し続ける」「交友関係や電話を細かく監視する」という行為が行われても「暴力に当たらない」と認識している人が、それぞれ15%前後いた。

 モラハラへの理解が広がり始めたのは、十数年前から。以前は「たかが暴言」「我慢が足りない」で済まされ、深刻さが認識されていないのが実情だった。講演で井上さんは「周囲が気付き、相談を促して」と呼び掛けていた。

 この日は約60人が参加した。そのうちの一人、50代の女性は、身近に「被害を受けているのでは」と心当たりのある人がいて参加したという。女性は「びくびくして生きるのはつらいと思う。心をぼろぼろにするモラハラは恐ろしい」と話していた。

 相談先の問い合わせは、博多ウィメンズカウンセリング=092(210)0058(平日午前10時~午後4時)=へ。

=2013/12/07付 西日本新聞朝刊=

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