【こんにちは!あかちゃん 第12部】産みやすい職場とは<1>「生活者の目線」を評価

プランナーとして業績アップに貢献するグランド工房新宮店の江上千絵さん 拡大

プランナーとして業績アップに貢献するグランド工房新宮店の江上千絵さん

 時には抱っこひもを着け、子どもを抱いたまま接客する-。福岡市の造園業「グリーンライフ産業」が運営するショールーム「グランド工房」では、こんな光景も目にする。それが営業の支障になるどころか、プラスに働くことが多いというのである。

 《グリーンライフ産業は1976年に創業。従業員78人の半数、管理職では4割を女性が占める。職人を中心とした男社会の造園業界はもちろんのこと、全国平均=グラフ=に照らしても異例の構成だ。とはいえ、なぜプラスになるのだろう》

 実際に1歳と3歳の子を育てながら働く江上千絵さん(32)に聞いた。顧客の要望を聞きながら図面を練り上げ、庭造りを提案するプランナーを務める。

 「“生活者の目線”が好評なのでは」。顧客の大半は家族連れだ。そこに気むずかしい職人が出てきて「俺の技術で、俺の作品を」と押し付けられたらどうだろう。

 確かに、趣向を凝らした植栽や外溝のある庭は生活に潤いを与える面はある。一方で、庭では洗濯物を干したり、靴を洗ったりする。段差や仕切りが子どもやお年寄りに危なくないか。そうした生活空間も兼ね備えた庭造りに「生活者の目線」は欠かせない。

 取締役営業本部長の山田美保子さん(40)も「子どもを産み育てている“ママさん社員”に、親近感や安心感を持ってもらえているようです」と力を込める。

 《もともとは住宅メーカーの下請け業者だった。90年代後半から住宅の新規着工数が伸び悩み始める。先細りする中、13年前に、店舗を構えて庭造りを提案するショップ展開へと業態を転換した》

 「初めは窓口で対応するのは女性の方がイメージがいいということだったんですが」。2代目社長の中村太郎さん(39)は正直に振り返る。

 以後、消費者ニーズをくみ取って提案していくビジネスモデルは、ガーデニングブームの追い風にも乗って、当たった。グランド工房は今や福岡、佐賀、大分、熊本、山口に15店舗を展開。売上高は2012年決算で約15億2千万円と、業態転換した13年前の4・2倍に成長した。

 もちろん独身でも、親との暮らしや1人暮らしならではの生活感がある。家庭的な男性社員もいる。「男女を区別せず成果を求めた結果」だという。

 育児休業が明けたばかりの社員も業績を引っ張ってくれている。そこで少しでも職場環境を整えようと子連れ出勤を認め、お客さまのキッズルームを社員にも開放している。「制度面ではまだまだ。もっと充実させないと」と中村さんは言うが、生活者の目線を持つ社員を評価する会社は、産み育てやすい職場の一つといえるだろう。

    ◇    ◇

 少子化対策において、企業の果たす役割は極めて大きい。一方、生産年齢人口が減少する今後に向け、限られた人材を最大限に生かすことは経営に直結する。チャレンジする職場を訪ねた。


=2013/12/10付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ