【こんにちは!あかちゃん 第12部】産みやすい職場とは<3>技術を認め適所に配置

高機能トイレ「ネオレスト」の開発に余念がない斎藤陽香さん 拡大

高機能トイレ「ネオレスト」の開発に余念がない斎藤陽香さん

 時には繁忙期であっても、社外研修への出張を認めている。北九州市の衛生陶器製造「TOTO」が技術者に投資するのはメーカーとして当然のこと。性別も、もちろん子育て中かどうかも関係ない。

 《国内初の水洗便器やユニットバスの提案、温水洗浄便座ウォシュレットの大ヒット…。衛生陶器で国内6割のシェアを占めるまでに成長したTOTOを、社員の約3割を占める技術者が引っ張ってきた。近年は女性の活躍も目立っている》

 衛陶開発第一グループの斎藤陽香さん(28)もその一人。高機能トイレ「ネオレスト」シリーズでは節水技術を担当してきた。昨年2月には3分の1の水で済む新製品が発売され、その開発グループで中核を担った。

 先輩たちから手ほどきを受けるOJT(日常業務を通じての教育)、開発者を集めた集合研修、社内LANを使った教育システム…。2009年の入社以来、充実した研修制度で力を付けてきた。独身で、結婚や出産がちらついてもいいころだろうが「辞める気なんて、さらさらない」と意気盛んだ。

 ただそれは「結婚しない」という意味ではない。結婚や出産を漠然と思い描くことはある。それでも働き続けられる確信が持てるのもまた、先輩たちから授かったものかもしれない。

 《1917年創業。2代目社長の百木三郎の遺事録に「良き品物を作る前に良き人を作るのが理想だ」とある。その言葉通り、人材育成を重視してきた。全国的に企業における女性研究者の比率が少しずつ高まる中(グラフ参照)、2000年ころからは開発部門に女性を積極的に採用。今では全体の1割を占
めるようになった》

 斎藤さんの先輩には、こんな女性たちがいる。

 3人の子を育てながら、研究資材の調達部門で働く40代の先輩。3度の育児休業とも満期でしっかり取得した後も開発の前線に戻り、ブランクを感じさせない仕事ぶりを見せていた。

 30代の先輩は育休が明けてすぐ、使い勝手の良さをテーマとした基礎研究を担う部署に戻ってきた。職場になくてはならないスペシャリストになれば、それまでの立場が結婚や出産で揺らぐことはないと証明してくれている。

 そこで、障害者も含めた人材登用を図る「ダイバーシティ推進グループ」の田辺純子さんはある計画を練る。05年に女性登用を目的に設立された「きらめき推進室」から発展し、10年に発足したグループのリーダーを務める女性である。

 計画とは、結婚や出産、子育てを経験しながら第一線で走り続ける技術者をはじめ、さまざまな部署で働いている女性社員を取材。働き方や仕事の工夫などの情報を社内向けに公開し、若手女性社員をはじめ、その上司たちにも見てもらおうと考えている。

 「さまざまなモデルを示すことで将来の自分をイメージできれば、安心して今の仕事に打ち込んでもらえるはずです」と田辺さん。それもまた「良き人を作る」ための一つの試みだ。


=2013/12/12付 西日本新聞朝刊=

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