【こんにちは!あかちゃん 第12部】産みやすい職場とは<4>男性育休で雰囲気変化

「育児休業を取得して良かった」と語る西鉄バス運転手の宮崎将利さん 拡大

「育児休業を取得して良かった」と語る西鉄バス運転手の宮崎将利さん

 時には「子育てトーク」で盛り上がることもある。西鉄バス(福岡市)の運転手控え室。かつての「男の職場」は雰囲気を変えつつあるという。

 《全国有数のバス保有台数を誇る西鉄バス。運転手は長く男性で占められていた。女性の採用を始めたのは、育児休業法が施行された翌年の1993年から。増えてはいても1800人中の4%で、まだまだ「男の職場」のはずだが…》

 「子育てトーク」だからといって、母親同士とは限らない。路線バスを担当する宮崎将利さん(38)も、たまに輪に加わることがあるという。彼には「語れる経験」があるからだ。

 第2子誕生を機に昨年10月から3カ月間ほど、育休を取得した。育児書を手に奮闘しつつ、ハイハイからつかまり立ちへと成長していく姿を間近に見てきた。そんな「感動の日々」を送ったことで、復職後も子育てに積極的に関わっている。

 ただ、育休を申し出るときはためらいもあった。勤務する営業所は早朝から深夜まで四つのシフトを約90人で回しており、周囲にしわ寄せがいくかもしれない。

 杞憂(きゆう)だった。同僚たちは背中を押してくれた。会社側もそうだった。自動車事業本部業務課係長の原口文明さんは「男性が育休を取るのが当たり前の職場にしていきたい。それが女性も産み育てやすい職場環境につながるはずですから」と確信する。

 《それでも、西鉄バスの男性運転手の育休取得率は3%。全国的にはさらに低く、2012年度は1・89%(グラフ参照)で伸び悩んでいる。そんな中、岡山市のアパレルメーカー「クロスカンパニー」は11月から“強制育休”を導入した》

 「イクメン推進休暇制度」。仕組みはこうだ。「親離れが始まる前に向き合ってほしい」との思いから、10歳までの子どものいる男性社員が対象。月に1日は必ず休ませる(公休)。その前に家事や育児に利用することを宣誓する夫婦連名の「確認書」を、さらに取得後は育児リポートを提出させる-。

 「まだまだ男が育児に関わる文化が薄いので『奨励』だけでは難しい。だったら会社が誘導しなければ」。コミュニケーション統括本部長の安信千賢さんは力を込める。そこには経営の将来を見据えた狙いもある。

 社員は約2600人で、うち95%を女性が占める。今後、管理職になったとき、必ず部下に女性がいることになる。働きながら産み育てた経験のある女性の上司であれば、理解ある対応ができるだろう。もちろん独身でも管理能力が優れていれば問題ないが、子育て経験のない男性上司の場合、職場にあつれきが生まれ、組織の活力がそがれる可能性が高まるのではないか。

 「若いうちから女性の立場やライフスタイルを理解してもらいたい。夫婦で共働きをしていく上でも役立つはず」と安信さん。現在は月1日だが、将来は1週間連続、半月連続と期間を延ばし、収入補填(ほてん)も視野に入れているという。


=2013/12/13付 西日本新聞朝刊=

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