【こんにちは!あかちゃん 第12部】産みやすい職場とは<5>自宅勤務 柔軟に対応

 時には在宅のままミーティングに参加する社員もいる。福岡市の3カ所で子どもを対象にダンスや体操のスタジオを展開する「MIKI・ファニット」の会議では、インターネットテレビ電話「スカイプ」が活躍する。

 《社員13人。全員女性。うち7人は妊娠中か子育て中。2006年に創業した太刀山美樹社長(46)は「出産や子育てで辞められては会社が成り立たない」と人事制度にさまざまな工夫を凝らしてきた。その一環で導入したのがテレビ会議だ》

 9月に第1子を出産した松下真菜さん(26)も育児休業中ながら、スカイプでミーティングに「顔だけ」出している。「職場の現状や方針が把握できるので、浦島太郎にならなくて安心です。復職しても無理なく働けそう」。会社側も経験のある戦力をブランクなく生かすことができ、お互いにメリットがある。

 勤務形態の工夫は復職後も施されている。その一つが、1時間早く帰宅し、その分を都合のいい時間に自宅で働くと勤務と見なされる制度だ。社員からは「保育所に迎えに行ける」「夕食を作ってから仕事ができる」と好評で、現在は子育て中の管理職2人が利用している。

 大企業なら人員の補充が効くが、小さい会社はそうもいかない。太刀山社長は「みんなが納得して働いてもらうことが重要です」と目配りに余念がない。

 《出社せずに働くテレワークは、交通機関がまひした東日本大震災を機に、危機管理として関心が高まっている(グラフ参照)。それより以前、経営方針として導入した企業がある。大阪市のシステム開発「奥進システム」。00年に設立された社員7人の小さな会社だ》

 原則として火曜と木曜が「テレワーク日」。ほかの日でも朝礼までに連絡すれば自宅で仕事をしたり、営業先に直行したりできる。連日取得も認め、上限もない。出社時と同じ午前8時半~午後5時半を就業時間とし、子どもの学校行事で抜けたりした場合は、その分を当日の夜や後日に回すのも自由だ。

 こうした働き方を導入した創業者の奥脇学代表には、苦い思い出がある。大手ソフトウエア開発会社の出身。長時間残業や単身赴任が続き、生まれたばかりの子と離れ離れの生活が続いた。「働いているというより、働かされている感覚。何のために仕事をしているのか」。自問した結果、場所や時間に縛られないテレワークに思い至った。

 社員の中にはシングルマザーもいる。営業職の今岡由美子さん(44)は週1回、出社せずに働いている。離婚後、非正規の職を転々としながら一人娘を育ててきた。5年前に入社し、母親の介護が重なりながらも仕事を続けられたのは「週1回でも心にゆとりが出て、生活にめりはりができたから」。

 「この会社に入る前は脇目もふらずに働いてました」とほほえむ今岡さん。表情には今の充実ぶりがうかがえる。テレワークには情報漏えいの心配や人事考課の難しさといった課題も残るが、産み育てやすい職場として「自宅」を選択肢に入れていい。


=2013/12/14付 西日本新聞朝刊=

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