「よろい」脱ぎませんか 男性の悩み相談 男性が対応 専用電話じわり拡大

男性の臨床心理士が相談に応じる福岡市男女共同参画推進センター・アミカス。弱音を吐くのは恥ずかしいという男性はまだまだ多い 拡大

男性の臨床心理士が相談に応じる福岡市男女共同参画推進センター・アミカス。弱音を吐くのは恥ずかしいという男性はまだまだ多い

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 男性が抱える家庭や仕事の悩みに、男性専門員が対応する電話相談窓口が、各地に少しずつ広がっている。専用窓口が求められる背景には「男らしさ」に縛られて弱音を吐けなかったり、女性相談員に心を開けなかったりする男性たちの姿があるという。

 個室にこもった男性の臨床心理士が、受話器の沈んだ声に耳を傾ける。福岡市の市男女共同参画推進センター・アミカス。「稼ぎが少ないと妻から責められるんです」「子どもを殴ってしまいました」。話は長いと2時間に及び、午後7~9時の相談時間を丸々1人に費やすこともある。

 アミカスは2006年に「男性のための相談ホットライン」を開設した。相談するのは20~70代と幅広く30~40代が半数を占める。夫婦関係に関する悩みが4~5割で、家族関係、対人関係と続く。相談員1人で月2回しか実施していないこともあり、受付数は年間約40件。従来の総合窓口でも男女問わず応じているが、男性の相談は全体の1割弱にとどまる。

 副館長の安部修さんは「男性の悩みが少ないわけではなく、相談することに抵抗を感じる人が多い。相談していいんだよ、と分かってもらおうと男性専用を掲げています」と説明する。

 抵抗感の原因について、安部さんは「男のよろい」を挙げる。「男性が弱音を吐くのは恥ずかしいという意識に加え、話せば自分の弱さを認めることになり、相談したくてもできない。年間3万人を超える自殺者の7割が男性というのも関連しているのではないでしょうか」

 内閣府の意識調査(12年)によると、「他人に弱音を吐くことがある」という男性は28・1%で、「悩みを気軽に誰かに相談する」はさらに少ない17・2%。一方で「夫が他人に弱音を吐いてもよい」と回答した女性は4割に満たず、簡単には「男はつらいよ」と口にできない状況がある。

 また、人間関係の希薄化も悩める男性を追い込んでいる。アミカス相談係長の鹿野由紀さんは「大家族で近所付き合いも深かった昔と異なり、身近にアドバイスをしてくれる人が少ないのです」と指摘する。

 内閣府は「男女共同参画は(女性支援だけでなく)男性の視点からも取り組む必要がある」と、男性専用の相談体制の充実を後押しする。3月には地方自治体向けの窓口整備のマニュアルを作成した。「女性には相談しづらい」との声があることから、少なくとも男性相談員1人を置くよう推奨している。国の動きを受けて長崎県と鹿児島県が12年、大分県が今年4月に、男性による男性のための電話窓口を開設した。北九州市も今月からスタートしている。

 ただ、限られた予算の中で「女性支援で精いっぱい」という自治体も少なくない。アミカスの安部さんは「専用電話がつながらなければ、総合相談窓口を使ってほしい。男性が弱音を吐くことは決して恥ずかしいことではありません」と呼び掛けている。


=2013/12/21付 西日本新聞朝刊=

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