【人の縁の物語】<47>被災地にサンタが来た 福岡の慈善団体 子どもたち 笑顔

宮城県南三陸町で開いたクリスマス会 拡大

宮城県南三陸町で開いたクリスマス会

プレゼントを喜ぶ子どもたち(横田法路さん提供)

 東日本大震災の被災地に3度目の冬が来た。家族や家を失い、胸に痛みを抱えたままクリスマスを迎える人もいる。子どもたちにプレゼントを届けて笑顔の輪を広げようと、九州から12人の「サンタクロース」が現地に赴いた。

 仮設住宅の窓からこぼれる光がなければ右も左も分からない暗闇に、カウントダウンの声が響く。「3、2、1、わぁ!」。イルミネーションに彩られて高さ約5メートルのツリーが浮かび上がった。てっぺんには青く輝く星。住民の心にも温かな光がともった。

 市民ボランティア「サンタプロジェクト九州」の12人は6日、約70世帯が暮らす宮城県南三陸町戸倉を訪ね、津波を逃れた木を飾り付けて点灯式を開いた。福岡市のプロテスタント教会「油山シャローム・チャペル」の牧師で一行を率いる横田法路(ぽうろ)さん(47)に住民女性がほほ笑んだ。「真っ暗な夜が嫌いだったけど、楽しみになりました」

 夜の闇は変えられない現実、ツリーに輝く星は復興に向けた希望の光‐。横田さんにはそう映った。

 プロジェクトは昨年夏、教会関係者を中心に発足した。バザーやコンサートで資金を集め、市民から贈り物を募る。今年も絵本や文房具など約200個が寄せられ、4~7日にメンバーが福島、宮城へ届けた。

 仙台市では津波で校舎を失った荒浜小学校に足を運んだ。児童37人が東宮城野小を間借りしている。被災当時は91人が在籍し、校内にいた全員が無事だったが、長い避難生活で次々に転校してしまったという。

 遠い九州からの贈り物をとびきりの笑顔で受け取る子どもたち。ただ、校長の川村孝男さん(58)の表情は複雑だった。「当時を思い出して急に涙する子が今もいます。震災は終わっていない。子どもたちはまだ揺れ続けています」

 大人も揺れ続けていた。

 プロジェクトに参加した会社員の岡田裕之さん(27)=福岡市=は、宿泊した南三陸町のホテルでこんな出会いがあった。

 忘年会を開いていた地元の男性が声を掛けてきた。「お兄さん、どこから?」「九州からプレゼントを持って来たんです」。次の瞬間、ガバッと抱き締められた。「ありがとう」

 招き入れられると、復旧活動の最前線にいた土木会社員たちだった。「がれきを動かすと泥まみれの子どもの遺体がいくつもあってね」。新聞やテレビでしか知らなかった「震災」が初めて目の前に迫った。

 復興が進むにつれ、住民の間に隙間が生じているという。家を再建した人、仮設住宅のままの人、仕事も見つからない人。一方で全国からの支援はどんどん減っていく。「どうか震災を忘れないで」。彼らの言葉に胸を締め付けられた。

 それでも皆、前を向く。プロジェクト事務局に手紙が届いた。「どこかで災害が起きたとき、そういうもの(ボランティア)をやってみたいなと思います」(福島県三春町・中妻小5年男子)。希望の光は少しずつ輝きを増している。


=2013/12/24付 西日本新聞朝刊=

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