テレビ会議、タブレット活用 デジタルでNIE 手探り

愛知県で開催された日本NIE学会の分科会。NIEとICTの融合や教育のあり方などについても論議が交わされた 拡大

愛知県で開催された日本NIE学会の分科会。NIEとICTの融合や教育のあり方などについても論議が交わされた

 紙の新聞を使った学習・NIE(教育に新聞を)と、電子黒板やタブレット端末などのICT(情報通信技術)を活用したデジタル教育は融合するのか。愛知県で11月にあった日本NIE学会では、そんな視点からも授業実践の発表や論議が交わされた。

 沖縄、奈良、熊本の3県の小学校、高校を同時中継のテレビ会議で結び、地元の新聞記事を題材に、地域の魅力や事情を伝え合う‐。熊本市立桜木東小学校の笹原信二教諭(56)は、新たなNIE授業に取り組もうとしていた。

 「熊本の水俣病問題は、遠隔地ではどう伝えられているのだろう。北海道で雪が降ってもニュースにはならないが、東京では大ニュースになる。地域によって生じる視点の違いや多様性を学んでもらいたい」

 授業では、沖縄県の小学6年生は、地元の方言を使った4こま漫画▽奈良県の高校2年生は、観光と共生の視点からシカ問題▽熊本の小学6年生は、ご当地アイドル・くまモンと路面電車‐など、子どもたちが選んだ記事を題材に、それぞれがリポート、質疑応答する。遠く離れた3教室をICTで結び、新聞を通じた子ども同士の教え合い、学び合い(協働学習)を広げようとしていた。

 大阪市立昭和中学校の植田恭子教諭(55)は、「情報から『情』を読み取ろう」と、東日本大震災の記事を題材にした実践授業を発表した。心情理解、想像力を育む狙いがある。スクリーンに映し出された教室では、電子黒板とタブレット端末、紙のプリントが混在していた。

 研究指定校になった昭和中では今春から、全教室に電子黒板が導入され、タブレット端末も全生徒に1台ずつ配備された。教材記事と動画を組み合わせたり、グループごとの意見集約にICTを活用したりして、NIEに取り組んでいるという。

 授業風景はどう変わろうとしているのか。例えば記事に見出しを付ける学習。8~10文字に要約するのは難しいが、植田教諭は「つぶやいてみよう」などと生徒たちに呼びかける。すると、あまり授業で発言できない生徒が、タブレット端末を使い、ツイートする感覚で、見出しを打てたりするのだという。

 植田教諭は「情報共有、コミュニケーションという視点から、デジタル教材は魅力的。しかし、生徒たちの記憶に残してもらいたい記事は、やはりプリントで配る。つぶやくばかりでなく、ちゃんと前に出て、大きな声で、みんなの顔を見ながら、伝えるべき言葉もある。デジタルとアナログ、双方の強みを生かしていきたい」と話す。

 討論では「最近の子どもたちは、友達とのコミュニケーションに必要な表面的な情報だけ集める傾向にある。『ネットがあるから、情報はいらない』と言う。情報への欲求そのものが減退しているのではないか」「情報に対する『なぜ』の問い掛けが少ない」などの指摘もあった。

 多くの教師たちが、教室のデジタル化を「避けて通れない問題」としながらも、その教育効果は未知数なだけに、手探りが続いているようだった。

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 【ワードBOX】ICT

 Information and Communication Technologyの略。情報技術(IT)に通信(C)を加えた用語で、教育現場では電子黒板、デジタル教科書、タブレットパソコン、校内LAN(校内のパソコンをつないだ通信網)などの整備が進む。文部科学省は、(1)情報活用力の育成(2)分かりやすく、授業を深める(3)学校業務の情報化‐などを目標に、2020年度までに教育用パソコンを「児童生徒に1人1台」配備を目指している。


=2013/12/24付 西日本新聞朝刊=

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