【人の縁の物語】<48>博多笑い塾15周年 笑って健康 広がれ 漫談、手品 公演2千回

出前公演のステージを終えてポーズをとる小野義行さん(中央)と川端矢須子さん(左) 拡大

出前公演のステージを終えてポーズをとる小野義行さん(中央)と川端矢須子さん(左)

 笑いを心と体の特効薬に-そんな意気込みで結成されたNPO法人「博多笑い塾」(福岡市中央区)が発足15年を迎える。漫談、手品、落語に物まね…。会員は約100人に増え、出前公演は2千回を超えた。時はストレスに満ちた現代社会。理事長の小野義行さん(55)は「笑って解消しましょう」とますます意気込む。

 「小ノ上マン太朗」の芸名でステージに立った小野さんが、手遊びゲームを盛り込んだ健康漫談を披露する。昨年末、福岡市東区の香椎下原公民館。「体は使わなかったら退化します。老化現象、オイル(老いる)ショックです」。約30人が詰めかけた会場が、どっと沸いた。

 続いて「八十乙女(やおとめ)玉手箱」こと川端矢須子さん(83)が登場し、ぼやき漫談で笑わせる。「若いころ、夫は単身赴任ばっかりだったのに、今は天国に単身赴任です」。会場は終始、和やかな雰囲気。2人の芸を満喫した三角准子さん(67)は「笑って気持ちよくなり、体も温まりました」と笑顔を見せた。

 「笑い塾」は1999年8月、笑いで人々を健康にしようと、小野さんの知人の医師が呼びかけて誕生した。現在、芸人の7割を50~80代の中高年が占め、ほとんどが練習を重ねた素人たち。小野さんも本職はイベント会社の経営で、得意分野だったレクリエーションの知識を生かして漫談の腕を磨いてきた。

 川端さんも69歳で入会するまでは「普通の主婦」だった。「何も成果がない人生ではむなしい」と文化サークルで南京玉すだれを習ったことが縁で、発足当初から関わってきた。月に4~5回出演する傍ら、講談師の神田紅さんに指導を受けて講談を勉強中という。「生きていて良かった。長生きはするものでございますよ」。八十乙女玉手箱は、そう言っておどける。

 最高齢は手品が得意の87歳男性。美空ひばりさんの歌まねをする76歳女性もいる。小野さんは「お客さんだけでなく、演じる側も笑いで元気になるんですよ」と特効薬の効用を語る。

 公民館、高齢者施設、企業の忘年会、地域の祭り、刑務所の慰問…。出演依頼は福岡県内だけでなく、九州各地から月10~20件が舞い込む。2007年から続く福岡県志免町の「笑いの健康地域教室」など行政主催の健康講座も担当している。

 引っ張りだこの背景にあるストレス社会。心の病に苦しむ人が多いのは、職場や家庭に失敗を許さない雰囲気が充満しているからではないか。そんな中、手遊びゲームで間違えたお客さんは笑顔を見せる。「笑うことで失敗した心の傷を消している。笑いはストレスを解消し、病気を予防する」と小野さんは確信する。

 「失敗を笑って許せる余裕のある社会なら、人は立ち直ることができるはず。一誤一笑(いちごいちえ)です」。小ノ上マン太朗が、丸眼鏡の奥の目をいっそう細くさせた。

 ◇博多笑い塾=092(714)1880

=2014/01/07付 西日本新聞朝刊=

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