【こんにちは!あかちゃん 第13部】「保育の質」って何?<2>国の最低基準は適正か

近くの公園で遊ぶ認可外保育施設「キッズ・キッズ保育園天神」の子どもたち 拡大

近くの公園で遊ぶ認可外保育施設「キッズ・キッズ保育園天神」の子どもたち

 《認可保育所の面積や保育士数に関する国の設置基準(表参照)は「保育の質」を担保する最低ラインと位置づけられてきた。ただ、戦後間もない1948年から内容がほとんど変わっておらず、今の時代にふさわしいのか、疑問の声も出ている》

 はいはいをしてぶつかりそうになったり、遊んでいるパズルを踏んでしまったり…。保育室にいる子どもの数が増えるにつれて泣き声は大きくなり、保育士の目が行き届かなくなる-。

 東京都内の認可保育所。全国保育団体連絡会が昨年実施した検証の一場面だ。0~1歳児1人当たりの保育室の面積を、2・5平方メートル、3・3平方メートル、5平方メートルと変えて比較した。その結果、狭い部屋ほど落ち着かず、子ども同士のトラブルが増えた。国の基準は3・3平方メートル。事務局長の実方伸子さんは「のびのびと活動するには5平方メートルは必要というのが実感」と話す。

 全国社会福祉協議会が2009年にまとめた研究結果でも「保育が不可能という状況ではないが、食事と昼寝のスペースを分けるなど、さまざまな課題がある」と指摘する。施設面で見ると「国の基準では手狭」というのが現場感覚のようだ。

 保育士の数にも基準がある。福岡県内にある認可保育所の園長は「特に発達が著しい1歳児は不十分」と感じている。自治体によっては上乗せした基準を設け、運営側の判断でも増員できる。実際は、人件費増や全国的な保育士不足で容易ではない。園長は「基準より余裕を持たせ、ゆとりある保育をしたいのですが…」と顔を曇らせる。

 《ゆとり保育を阻む一因に待機児童問題がある。特に福岡県の場合、昨年4月で1055人と九州で最も多く、定員ぎりぎりで受け入れている保育所も少なくない。水準を上げれば、それもできなくなる。では、待機児童の受け皿となっている認可外保育施設はどうだろう》

 都心のビルの一室にある「キッズ・キッズ保育園天神」(福岡市)。保育室の面積や保育者の数は十分だが、保育士の有資格者が足りないこともあって、認可外で運営されている。

 長男(3)が通う母親(31)は、認可保育所も見学した上で「保育士さんが子どもの普段の様子を熱心に聞いてくれたので信頼できた」と決めた。園庭はないが、近くの公園に出掛けて体を動かせるよう配慮してくれるので気にならないという。

 ただ、認可基準を大幅に下回る認可外施設もあり、親からは「格差が大きくて選ぶのが難しい」と不安の声も聞かれる。そこで熊本市にある認可外保育施設「保育園やまびこ」は「国の基準が全てではないが、客観的な評価の一つとして安心感につながっている」として認可への移行手続きを進めている。

 それは保育士の待遇改善のためでもあるという。認可保育所になれば自治体から運営費の補助がある。副園長の山下由美子さん(52)は「ゆとりを持って働けることが、子どものためにもなるはず」と話していた。

 《基準の見直しと待機児童解消。市民団体「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんは「どちらかを犠牲にすることなく、双方を大事にしてほしい」と望む。一方で、親や運営側の話を聞いていると、施設面もさることながら、保育士が「質」の鍵を握っていることが分かる。次回23日付は保育士について考える》


=2014/01/22付 西日本新聞朝刊=

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