震災の復旧現場でアマ無線の不正利用横行 非常通信妨げの恐れも

友好紙 夕刊

禁止周波数使用し雑談

 「東日本大震災の後、復旧工事現場でアマチュア無線の不適切な利用が横行している」。宮城県気仙沼市の40代男性から河北新報(仙台市)の「読者とともに 特別報道室」に困惑の声が届いた。取材を進めると、不適切な無線利用は災害時の非常通信の妨げにもなり得ることが分かった。

 「(岩手県警)千厩(せんまや)署の前でパトカー待ってだんだっけなー。やらいだ(やられた)」

 7月中旬、土曜の午後3時すぎ。男性宅のアマ無線機から、運転中とみられる男性2人の会話が聞こえた。1人が最近、市内から岩手県一関市方面へ向かう国道で前方車両をあおり運転し、摘発されたとの趣旨だった。

 別の周波数ではダンプカー運転業務のやりとりや車の購入に関する雑談など、約30分間に9周波数で会話が確認できた。男性によると、これでもいつもより交信の数は少ないという。

 この日の交信は、全てコールサイン(個人や無線局の住所に当たる識別信号)を発せず、一部は禁止された周波数を使用。いずれも電波法が定めた運用に違反する行為だった。20年以上、アマ無線を趣味としてきた男性によると、震災後に違反行為が頻繁に確認できるようになったという。

 会話には気仙沼市内の復旧工事名も頻繁に登場することから、使っているのは主に運転中の工事車両とみられる。男性は「復興工事の陰で恐ろしい数の違反がある」と顔をしかめる。

 日本アマチュア無線連盟宮城県支部(約1100人)の佐藤雄孝支部長(77)は「割り当て以外の周波数を使われれば、災害時に非常通信が聞こえないかもしれない」と危ぶむ。

 東北総合通信局によると震災後、東京電力福島第1原発事故の復興工事の現場など、被災各地で工事車両の利用違反が目立つ。大半は運転手が情報交換や世間話に使う。違反には行政指導をするが、罰則がなく違反を繰り返す例が多い。人員も限られ取り締まりが追い付かないという。

 通信局の堂下巌監視課長は「行政指導は強制力がなく、最後は利用者のモラルに頼るしかない。全ての周波数が使えないほど危機的状況ではないが、工事の受発注者双方に法令順守を促したい」と話す。 (河北新報・鈴木悠太)

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