【こんにちは!あかちゃん 第13部】「保育の質」って何?<5完>親も関わり「最善」考えて

 ■新訳男女■ 
 《「保育の質」について考えるこの連載では、これまでに保育所や自治体の役割を取り上げてきた。では、親は何ができるのか。取材ノートをめくりながら考えてみたい》

 真剣な表情で画用紙に向き合う子どもたち。トイレットペーパーの芯を丸いスタンプに見立ててインクをつけていく。思い思いのクリスマスツリーができた。その後、みそ汁とゴボウの炒め物がおかずの昼食を取り、絵本を3冊読んだら、みんな並んでお昼寝-。

 昨年12月、ある保育所を見学させてもらった。記者の私(30)は長女(3)を保育所に通わせているというのに、どんな一日を過ごしているか、具体的な内容はあまり知らない。送迎時は時間に追われ、保育士さんとゆっくり話せない。忙しさを言い訳に、言い方は悪いが「丸投げ」している。

 取材の中で、親が積極的に参加する保育所運営に出合った。元は公立で、民営化にあたり「行事にはどんな意義があるか」「普段の遊びで何を大事にしてほしいか」といった保育内容を親も一緒に考えたことが参加の契機になったという。

 「健やかな育ち」という同じ方向を見て、保育所と親が疑問や意見を交わし、双方が納得する子育てを実践する関係ができていると感じられた。それも「保育の質」の一つだろう。

 その点でいえば、親と保育士との連携も大切になってくる。子どもが保育所で過ごす時間は長い。親は家での普段の様子を伝え、逆に保育所での成長を教えてもらう。現場での指導経験も豊富な西南学院大人間科学部教授の門田理世さんが「保育士は子どもを預ける人ではなく、子育てのパートナー」と話していた。

 保育に関わりたくても、雇用が不安定な中、残業や休日出勤が続き、夜間保育や二重保育で何とか乗り切っている親もいる。保育の質と同時に、働き方、働かせ方を考える必要がある。

 私の長女が通う保育所には、誰が送迎したかをサインする用紙があるのだが、やはり「母」が多い。もっと「父」を増やそう。会社のノー残業デーは父親の送迎を推奨する日にしてもいい。安心して通える保育所と企業の子育て支援策がそろってこそ、子どもを産み育てやすい社会になる。

 何より、人間としての土台をつくる大切な時期。子どもにとって何が最善か-その視点で「保育の質」の議論を深めていきたい。

 =おわり

 ●「延長」「休日」時間も多様に

 「保育の質」の一つの要素として「時間」の充実も挙げられる。保護者の働き方が多様化する中、時間延長や休日保育を実施する認可保育所が増えている。

 全国保育協議会が2011年度に実施した調査によると、延長保育をしている保育所は70・5%で、06年度の前回調査より9・8ポイント増えた。時間は「2時間未満」が77%、「2~3時間」が7・5%、平均は1・6時間だった。休日保育は7・4%、病児・病後児保育は8・3%が実施している。

 一方、保育所側がニーズの多様化に対応しようとすれば、保育士の確保が欠かせない。このため、延長保育や休日保育は別料金とはいえ、予算は限られることもあって、人件費を抑えられる非正規雇用が増加している。

 同調査でも、85・9%の保育所で非正規雇用の保育士を配置しており、前回比8・2ポイント増。勤務する保育士のうち「非正規が70%以上」も4・5ポイント増えて9・4%となっている。

 調査には全国の認可保育所の約3分の1に当たる8205施設が回答した。


=2014/01/25付 西日本新聞朝刊=

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