「ブラック企業」見抜くには 3年内離職率に注意 「就職四季報」活用を

中村学園大で開かれた福岡労働局の出前講座。リクルート姿の学生が真剣に聞き入った 拡大

中村学園大で開かれた福岡労働局の出前講座。リクルート姿の学生が真剣に聞き入った

 昨年12月に解禁された2015年卒業予定の学生の就職活動。就職先選びで学生を悩ませているのがブラック企業問題だ。過酷な労働条件で若者を使い捨てにする企業を指すが、定義があいまいで見極めが難しい。見抜くにはどうしたらいいのか。

 「会社の規模の割に大量に採用したり、高収入ばかり強調したりする企業には仕事の内容をしっかり確認してください」。15日、中村学園大(福岡市)の大講堂。講師を務めた福岡労働局の川田代学・労働基準部長の話に、300人を超えるリクルートスーツ姿の学生が真剣に聞き入った。

 全国の労働局は12年度から、労働法に関する出前講座を各大学で開いている。働くに当たって身を守る基礎知識を就職活動前に学んでもらうのが狙いだ。

 「自分の一生がかかっている。面接では積極的に待遇や労働条件を質問してほしい」と川田代部長。約1時間の講義を聞き終えた短期大学部の青柳歩さん(19)は「求人票に書いてある給与に残業代が含まれていることがあるなん
て…。これからは求人票を隅々まで見ていきます」と背筋を伸ばした。

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 厚生労働省が昨年9月、ブラック企業の疑いがある5111社に立ち入り調査したところ、82%に当たる4189社で違法な時間外労働など労働基準関係法令の違反が見つかった。学生がブラック企業に引っかからないよう、大学側も細心の注意を払う。

 中村学園大では企業から求人票を受け付ける際、就職課の専従職員7人が賃金や労働時間に法令違反がないか目を光らせる。さらに年末年始にかけて昨春入社した卒業生にアンケート。「退職していないか」「就職先の満足度」など、情報収集を重ねる。退職した卒業生には中途採用の就職支援も行っており、浅見充課長は「卒業生をフォローしながらブラック企業を割り出したい」と話す。

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 多くの学生がインターネットの就職サイトや、交流サイト「フェイスブック」などで企業に関する情報を収集している。その点で、法政大大学院キャリアデザイン学研究科の上西充子教授は、ネット情報に頼りすぎないよう注意を促す。

 「新聞記事のデータベースや『就職四季報』など企業情報を集めた客観的なデータからブラック企業を見分けられる」と強調。特に就職四季報は3年後の離職率や月平均残業時間など、就職情報サイトには掲示されていない詳細な項目がたくさんあるという。

 その中でも特に注目すべきは? まずは「3年以内離職率」。3割を超える新入社員が3年以内に退社していれば要注意。賃金は月給の初任給の高さにつられるのではなく、ボーナスを含めた年収ベースで検討する。労働組合の有無も重要な指標だ。上西教授は「企業は実際の労働条件を隠し、いい顔を見せようとする。本当の顔を見抜く目を養ってほしい」とアドバイスしている。

 ●見分け方HPに公開 教授や弁護士のグループ

 上西教授や弁護士、ソーシャルワーカーらが結成した「ブラック企業対策プロジェクト」は、「ブラック企業の見分け方-大学生向けガイド」という66ページの冊子をホームページ(http://bktp.org/recognize)で公開。無料で閲覧、ダウンロードができる。

 ガイドでは、ブラック企業を見分ける主なチェックリストとして(1)新規学卒社員の3年以内の離職率が3割を超える(2)過労死、過労自殺者を出している(3)短期間で管理職になることを求めてくる(4)残業代が固定されている(5)求人広告や説明会の内容がコロコロ変わる-などを挙げている。

=2014/01/25付 西日本新聞朝刊=

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