腹ぺこのクマにドングリの森を 餌不足…人里出没相次ぐ福井県で計画

友好紙 夕刊

 2年連続でクマが大量出没している福井県内。冬眠や出産を控えるクマにとって、最も大切な栄養源であるドングリの実りが悪かったことが原因だ。「餌が不足しているなら山中にドングリがなる木を植栽しては?」。福井新聞の調査報道「ふくい特報班」に、そんな声が寄せられた。福井県に聞くと、ドングリが実る広葉樹を針葉樹林に増やす「針広混交林」の計画は既に始まっているという。

 インターネットで見ることのできる福井県のクマ出没情報では、冬眠に向け、活動を活発化させる今年9月中旬以降、毎日、目撃例が報告されている。10月22日時点でけがをしたのは5人。ドングリを探して人里近くまで来て人間と遭遇、驚きのあまり、一撃を加えて逃げ出すのだという。

 ドングリは、奥山なら主にブナやミズナラ、標高が比較的低い場所はコナラなどに実る。広葉樹の植栽について、福井県自然環境課は「ドングリの豊凶の仕組みは十分に分かっておらず、クマの人身被害対策として今後の研究課題」としている。

 スギなど針葉樹林の針広混交林化は、木材需要の低迷なども背景に10年以上前から進められている。スギを列状に伐採し光が差し込むようにすることで、自然に広葉樹を増やす。

 福井県は「ふくいの森林・林業基本計画」で、昨年度960ヘクタールだった針広混交林を、2024年度に2300ヘクタールまで拡大する構想を描く。同県内の民有林は半分近い12万ヘクタールがスギなどの人工林。将来的にはそのうち奥山に当たる7万ヘクタールを、広葉樹も生えた多様な森にする考えだ。

 民間でも福井県内各地で広葉樹の植栽が進められており、同県大野市では森林保全団体が苗木を育て、山に植樹するボランティア活動が長年続けられている。

 広葉樹にはドングリが実らないものも含まれるが、針葉樹だけに比べればクマの餌は増える。ただ、森づくりには長い時間がかかる。当面はクマに用心するしかない。

 福井県自然環境課は、クマの出没が11月にかけてピークになると考えられることから「(クマの好物である)集落のカキやクリを早期に収穫し、朝夕は出歩かないなど、対策を取ってほしい」と注意徹底を呼び掛けている。 (福井新聞)

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