ミャンマー難民の日本語教室、学生が支え 開講6年「通う人いる限り」

友好紙 夕刊

 内戦や民主化運動の弾圧から逃れたミャンマー人たちのため、東京・高田馬場で6年前に始まった日本語教室が10月、260回を超えた。教室で進行役を務め、議論に加わるのは日本の大学生たち。新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい運営状況だが、国を超えた学びの場を守ろうと奮闘が続いている。

 教室は「ヴィラ・エデュケーション・センター」(VEC)。高田馬場でミャンマー料理店を営むチョウ・チョウ・ソーさん(57)が、日本語教育を専門とする松尾慎・東京女子大教授やその教え子の協力を得て、2014年に始めた。

 料理店近くのアパートで毎週日曜に開かれ、授業料は月3千円。10月中旬に訪れると、ミャンマー人の男女3人と、東京女子大の学生や卒業生が、和気あいあいと机を囲んでいた。

 この日のテーマは「食品ロス」。学生たちが作ったプリントや動画を教材に授業は進むが、一方通行ではない。プリントを音読後、食べ物を無駄にしない工夫について議論した。

 「残ったご飯を乾かし、ヤシが原料の黒砂糖を掛けてお菓子を作るよ」。ミャンマー人が紹介すると、学生たちは「それ、いいね」「作りたい」と声を上げた。

 チョウ・チョウ・ソーさんは母国ミャンマーで民主化運動に参加後、1990年代に日本に逃れ、難民認定を受けた。来日当初は日本語ができず、苦労した。「日本社会の一員になるには日本語が必要」と教室を開いた理由を語る。

 教室は難民認定前の人も受け入れる。昨年、日本で難民認定を申請した1万人以上の外国人のうち、認められたのはわずか44人。認定者は公費負担で約半年の日本語教育を受けられるが、その他大勢が支援の枠外だからだ。

 難民認定を申請中の飲食店員の男性(51)は3年前から教室に通う。「認定を受け、長く住みたいので、日本語を安く学べるのはありがたい」と笑顔を見せる。

 進行役を務める東京女子大4年の西村愛さん(23)は「受講生は人生の先輩ばかり。日本語教師志望の自分にとって、この経験は将来に生きる」と語る。

 受講したミャンマー人は50人以上。参加した日本の学生や教育関係者は300人を超えた。だが、新型コロナの影響で今春、教室用アパートの家賃を負担してきたチョウ・チョウ・ソーさんの料理店の売り上げが昨年の10分の1に激減。運営に黄信号がともった。

 松尾教授らは8月、VECの規約を定め、任意団体として組織化。難民問題に関する有料のオンラインセミナーなどで、資金を捻出することを決めた。「ここは年齢や背景が違う人たちが学び合い、考え、豊かになる場」。松尾教授は多文化共生への理解の広がりに願いを込める。「通う人がいる限り、続けたい」 (東京新聞・北川成史)

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