非正規教員を考える 教研集会から 格差30代半ばから 自覚遅く 身分固定化の一因に

非正規教員の問題も討議した教研集会の分科会 拡大

非正規教員の問題も討議した教研集会の分科会

 全国の公立小中学校で非正規教員が増えている。雇い止めにおびえながら低賃金で長時間働くその実態を見ると、学校が「ブラック企業化」している感もある。1月24日から3日間、大津市で開催された日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会でも、この問題が取り上げられた。

 「残業しても無給なのに仕事がたまっているので定時に帰ることはない」「立場が弱いので、不登校の児童の対応や部活動の顧問など難しい仕事を押しつけられる」

 滋賀県の教職員組合臨時採用教職員部(臨採部)が2013年度、約100人に行ったアンケートによると「待遇や賃金は仕事に見合っていると感じるか」との設問に対し、53%が「感じない」と回答。多くが労働環境に不満を抱いている実態が浮かび上がったが、この中で臨採部が注目するのが「感じる」と答えた33%のうち20代が7割を占めたことだった。

 「若いころは正規と非正規の間で賃金などの格差は大きくないので仕事に没頭できるが、30代半ばから格差が広がるようになり矛盾を意識し始める」。臨採部はこの「気づきの遅さ」が非正規の固定化につながっていると警鐘を鳴らす。

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 学校で非正規の教員が増えている背景には、まず自治体の財政難がある。

 都道府県が教員の配置や給与額を決めるが、人件費抑制のために非正規を増やす自治体が増加。いじめや不登校、給食の食物アレルギーへの対応など新たな課題が増えているのに伴い、現場の人手不足を補うため、育児や介護で一線を離れた教員を非正規で再雇用するなど複数の要因が挙げられる。

 深刻なのが、年齢構成がいびつになっていることだろう。かつての子どもの多さに対応して大量採用したこともあり、50代後半は多いが、採用が抑制された30代後半から40代半ばの層が少ない。この年代の多くは臨時採用の非正規教員として学校現場に飛び込んだ。

 学級担任、部活動の顧問…。不安定な任用にもかかわらず責任ある仕事を任された。正規と変わらない勤務の中、採用試験の勉強もままならず、気がつけば試験の年齢制限を超えてしまったというケースは珍しくない。

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 例えば福岡県の場合、大卒の非正規教員の初任給は月19万5900円。10年近くは昇給するが、非正規の給与月額は上限27万3600円と決められており、30代半ば以降は「固定給」になってしまう。40代後半から50代前半で正規と非正規の月給差は約10万にも及ぶ。それは福岡県だけのことでなく、程度の違いこそあれ、全国どこでも同じ構図なのだ。

 福岡、北九州両市は昨年度から採用試験の年齢制限を撤廃。59歳まで受験できるようにした。子どもにとってみれば正規か非正規かに関係なく、先生は先生だ。教育の質を確保するためにも、非正規の待遇改善や正規教員としての採用を積極的にするべきだと考える。

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【ワードBOX】非正規の教員

 文部科学省によると、公立小中学校の教員数は全国で約70万人(2013年5月1日時点)。そのうち、非正規はフルタイムで働く常勤講師6万3695人、時間給の非常勤講師5万2050人の計11万5745人で全教員の16・4%に上る。文科省は「学校運営や教育内容への影響が心配され、非正規数を抑える必要がある」(初等中等教育局)としている。


=2014/02/01付 西日本新聞朝刊=

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