小学校の運動会、「鬼滅ダンス」はあり? 首切る動作に戸惑いが…

友好紙

 「鬼の~首を~ぶった切る!!」。帰宅すると、小学校低学年の息子が勢いよく刀をけさ懸けに切るジェスチャーを披露した。聞けば、運動会で取り組むダンスの曲が人気アニメ「(きめつ)の(やいば)」の主題歌「華(ぐれんげ)」に決まり、その決めポーズだという。わが家では「鬼滅の刃」を見ていないだけに、残酷な動きを低学年に指導することに戸惑いを抱いた。中日新聞の双方向報道「Your Scoop~みんなの取材班」に相談すると、「自分で取材するように」と指示が飛んだ。

 「鬼滅の刃」は、主人公の(かまど・たんじろう)が、鬼にされた妹を人間に戻すために壮絶な戦いに挑む、大正時代が舞台の物語。「紅蓮華」は今年、全国各地の運動会で使用されている。人気アニメの曲が使われるのは一般的で、児童にとっては親しみのある曲の方が楽しく、取り組む意欲も高まる。ただ、刀で首を切る動きを低学年に一斉にやらせるとなると、親としてやや受け入れがたい。

 そもそも、大ヒット中の映画版は、映画倫理機構によって小学校低学年には不向きとされる「PG12」に指定。確かに「鬼滅の刃」は一家惨殺から物語が始まるなど血なまぐさいシーンが多い。鬼を倒すには首を切断しなければならず、周囲でも内容に眉をひそめる保護者は少なくない。

 自身も映画を見に行ったという教育研究家の妹尾昌俊さんは「首を切るシーンがあるので見せたくない、という家庭を尊重する必要はある。家庭によって価値観は異なるが、学校教育で扱う以上、作品に接する強制力が働く。家庭の方針で見ることができず話についていけない児童や、経済的な理由で映画を見に行けない児童に対して、仲間外れやいじめにつながりかねない」と指摘する。

 息子の小学校では、選曲や振り付けを外部の会社所属のダンス講師に依頼。この会社が講師を派遣する愛知県内の小学校5校で同じ振り付けが使われた。妹尾さんは外部のダンス講師に依頼すること自体は「良い方法」としつつ「教育的な配慮は、学校側にその義務がある」と強調。その上で「人気はまだまだ続くだろうし、可能な限りの配慮が必要」と話した。

 息子の通う学校には、鬼の首を取ったような指摘にならないよう、やんわりと問い合わせた。教務主任の男性は「振り付けもチェックしたが、実際そこまで考えていなかった」。既に練習が進んでいるため変更はないとしつつ、「これによって暴力的な言動が出ないように指導に取り組む。大勢が好きだからといって全員が見ているわけではないし、残酷なシーンが駄目だという子もいる。今後は少数派の意見も大事にしていきたい」との返答。指摘を前向きに受け止めてくれ、ひとまず胸をなで下ろした。 (中日新聞・宮崎厚志)

【ワードBOX】PG12
映画倫理機構が定める4区分の一つ。刺激的で小学生の観覧には不適切な内容も一部含まれ、幼児・小学校低学年の観覧には不向き。高学年の場合でも成長過程、知識、成熟度には個人差が見られるため、12歳未満は親、保護者の助言・指導に期待する区分。PGは「Parental Guidance(親の指導・助言)」の略。

 

 

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