特別支援学校卒業後 学びの場 「専攻科」増やして 保護者ら全国集会 「ゆっくり社会へ」

障害のある若者の学びの場づくりを考えた研究集会 拡大

障害のある若者の学びの場づくりを考えた研究集会

 知的、発達障害などのある若者が特別支援学校高等部に引き続いて学べる「専攻科」を増やそうという運動が展開されている。昨年末には福岡市で「全国専攻科(特別ニーズ教育)研究会」(田中良三会長)の全国集会が開かれた。背景には、高等部を卒業しても大学へはほとんど進めず、就労や福祉作業所への入所など選択肢が限られている実情がある。生きる力を育む「学びの場」づくりについて考えた集会の様子を報告する。

 「子どもたちはゆっくりと力をつけて育つ。高校3年間だけで社会に出るのは厳しい」。はじめに講演した見晴台学園(名古屋市)の藪一之学園長は、そう指摘した。

 見晴台学園は、学習障害(LD)や軽度の発達の遅れがある子の学びの場として本科3年、専攻科2年の5年制高校(無認可)として運営されている。藪さんは、専攻科にオーバーステイした生徒に自ら学ぶ姿勢が生まれたことを紹介し、「一見無駄のようだが、自分のために自由に時間を使うのが青春」と強調した。

 昨年10月には法定外の見晴台学園大学を開設した。その1期生の女子学生は就職か進学か迷いながらも、社会と関わるために成長したいと自ら選択。その経緯を踏まえ、丁寧な教育を受けて成長する時間が保障される大切さを訴えた。

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 続いて、実際に専攻科で学んでいる生徒、保護者、教員らが「専攻科の歩みとこれからの青年期教育」をテーマにパネル討論した。

 見晴台学園高等部専攻科2年の男子は、中1まで通った普通校で勉強についていけず、いじめられて不登校になった経験を話した。学園では「自分らしく勉強できた」といい、専攻科まで計5年あることについて「必要な知識をゆっくり、たくさん学べる。専攻科は行事、課題が多いが、仲間と励まし合い、団結する力がつく」と語った。

 長女が重度の自閉症という母親は「特別支援学校の高等部は卒業後の社会適応のための実習が中心。コミュニケーション指導まで行き届かず、就職しても長続きするか不安だった」と振り返った。長女は今春、北九州市に開設される福祉型専攻科「カレッジ北九州」に進学予定。「人と関わるのが苦手だが、仲間と一つのことをやり遂げる達成感を味わい、かけがえのない青春を謳歌(おうか)してほしい」と願った。

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 2012年に福岡市に開校した「カレッジ福岡」に息子が通う母親は「生活力がつけばとケアホームに入所させ、そこから通学している。体も心も柔軟なうちに親元を離れる経験をしてほしかった。就労、福祉的就労に進むのと違う学びを体験できる」と述べた。

 一般の高校生の進学率(13年)が70%を超える中、特別支援学校は2・8%にとどまっている。水戸飯富特別支援学校(茨城県)の船橋秀彦教諭は「一般就労は大事だが、18歳でそれを求められる。なぜ障害のある青年だけが急がされるのか」と指摘。韓国で全国150の高校、特別支援学校の半数ほどに専攻科がある調査結果を報告し、学びの場の整備を訴えた。

 司会を務めた福岡教育大の猪狩恵美子教授は「専攻科があることが、障害のある若者の夢や希望になっている。子どもたちのこれからの世界をみんなでつくっていこう」と呼びかけた。

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【ワードBOX】専攻科づくり運動

 知的障害や発達障害などのある若者に青年期の「学びの場」を保障しようと、保護者や教育関係者が協力し、1~2年間の専攻科や福祉型専攻科を設置。見晴台学園(名古屋市)の専攻科設置など1990年から展開されている。九州では福岡、長崎などにある。


=2014/02/06付 西日本新聞朝刊=

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