毒物?「猫の街」相次ぐ不審死 東京・児童文学「ルドルフと―」舞台

 東京都葛飾区鎌倉4丁目で、地元の人たちがかわいがっていた「地域猫」が相次いで命を失った。小学生の男児が東京新聞の双方向報道「ニュースあなた発」に情報を寄せてくれた。取材すると、京成小岩駅周辺の江戸川区と葛飾区にまたがる半径100メートルほどの範囲で昨年11、12月、少なくとも8匹の地域猫が死んだ。一帯は、児童文学「ルドルフとイッパイアッテナ」の舞台となった「猫の街」。原因ははっきりしておらず、猫を見守ってきた人たちは心を痛めている。

 地元住民によると、最初に地域猫が死んだのは昨年11月末。鎌倉4丁目の古沢亜希子さん(49)方の軒先で、地域の人たちがかわいがってきた猫が急にぐったりした状態となり、2日後に死んだ。

 同じ場所や近くで、翌週と翌々週も別の猫がぐったりして、後に死んだ。そのほか、鎌倉4丁目や100メートルほど離れた江戸川区北小岩6丁目で、少なくとも猫計5匹が死んだ。他にも、急に姿を現さなくなった地域猫もいるという。

 住民に運び込まれた猫を診察した動物病院の獣医師は取材に「普通に生活していたらあり得ない腎臓の数値だった。毒物を食べた可能性はある」と答えた。別の動物病院の獣医師は、腎臓の数値が高かったとした上で「野良猫なので診察の履歴がなく、原因は分からない」と話す。

 多くは、野良猫の殺処分を減らそうと、捕獲して避妊手術を施した後、地域に戻された猫たち。手術後に耳の先をV字にカットすることが多く、「さくら猫」とも呼ばれる。

 古沢さんによると、自身が幼い頃から、一帯はいつも野良猫の歩く街だったといい、「こんなに猫がいないことは初めて」と困惑する。一緒に猫をかわいがってきた山口忍さん(51)は「猫と共存する街に戻ってほしい」と願う。住民たちは管轄する葛飾署と小岩署に相談している。

 「ルドルフとイッパイアッテナ」は、北小岩出身で現在、亜細亜大教授を務める斉藤洋さん(68)の作品。1987年に出版されたロングセラー。岐阜から北小岩にやって来た黒猫「ルドルフ」と「イッパイアッテナ」たち猫や人々との交流を描いた心温まる物語で、京成小岩駅周辺の商店街などが舞台となっている。2016年には同名のアニメ映画が全国上映され話題となり、地元には作品に関連する石碑も設置されている。

 斉藤さんは取材に「猫がかわいそうということだけでなく、地域に不安が広がってしまう」と心配する。死んだ原因は分かっていないが「もしも猫が嫌だと思う人によるものなら、意見を表明して、話し合うべきだ。それが民主主義だ」と話している。 (東京新聞・佐藤大)

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