張り込みに「あんパン&牛乳」本当? 伝説の真相、元刑事に聞く

 「刑事ドラマの張り込みシーン、先輩刑事があんパンと牛乳を買ってきて後輩に『食え』と渡しますよね。実際はどうなの?」。関西の地方紙や放送局でつくるウェブサイト「まいどなニュース」にこんな疑問が寄せられた。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が実体験を踏まえて解説してくれた。

■コンビニ普及前、ドラマでおなじみ

 あんパンと牛乳の組み合わせは、コンビニエンスストアが全国津々浦々まで普及する前、1970年代までの描写として記憶される。昭和のドラマでは、犯人の潜伏先などを張り込む刑事が電柱の陰であんパンをかじり、牛乳で流し込むといった場面があり、それがイメージとして定番化した感がある。

 ちなみに牛乳は瓶から紙パックの時代へ。三角パックで細いストローが別に付いたものだった。あんパンとともに、個人商店の紙袋に入っていた。

 別に、あんパンでなくてもいいのでは…と思った視聴者も少なくなかったはずだ。菓子パンなら他にもあるし、食事の代用としてサンドイッチやホットドッグ、ハンバーガー、おにぎりと選択肢はいくらでもある。飲み物もコーヒーやお茶、ジュースなど、ノンアルコールであれば何でもあり。それでも、あんパンと牛乳に特化されたのは?

■あんパン…におい、かす出ず現場向き

 小川氏は「張り込み中の食事は、基本的に車の中が多いですが、おにぎりやサンドイッチなどはにおいが車内に残り嫌がられます。ご飯粒やパンかすも車内に落ちますし。菓子パンの中では、メロンパンは上のカサカサした部分がポロポロ落ちるので車が汚れると敬遠されます」と指摘。消去法で、あんパンが現場に適していることを示唆した。

 「疲れている時は、体が甘いものを欲しているということもあります。近年、あんパンで人気があるのは、かつて刑事ドラマに出ていた大きいものではなく、小さいものがいくつか入ったもの。そのシリーズでは、クリームパンなど、あんパン以外を食べる人も。いずれにしても一口サイズで食べやすいので人気です」

 特別な存在が東京・銀座「木村屋総本店」のあんパンだという。小川氏は「テンションが上がります。店が銀座なので、捜査員が買いに行く余裕はないですが、現場や捜査本部に差し入れてもらうとうれしくなります。あんがズシンとしているんですよ」と強調した。

■牛乳…傷みやすく、最適はコーヒー

 続いて飲み物について、小川氏は「私は牛乳が苦手なこともあり、張り込みで飲んでいたのはコーヒーのブラックでした」と告白。さらに「牛乳を飲む人を私の周囲では見たことがない」と注目発言。「夏場だと、牛乳を車の中に置いていると悪くなってしまいますし、牛乳が合わない人はおなかを下してトイレが近くなることも」と説明した。

 張り込み現場に適しているのはコーヒーという。「徹夜の張り込みなどで眠気覚ましにもなります。私は無糖ブラックでした。コーヒーは利尿作用がありますから、たくさん飲むとトイレが近くなるので、チビチビ飲んだらフタをして保管できるように、プルトップではなく、開閉式のキャップが付いた缶タイプでした」と解説。冬場でも、張り込み中は車のエンジンをかけられないため「冷えた車内で熱いコーヒーで手を温めました」と振り返る。

 最後に、小川氏はこんなエピソードを紹介してくれた。「先輩が現場に研修に来ていた新人に『メシ買ってきて』と頼んだところ、その新人はあんパンと牛乳を買ってきました。理由を尋ねると『刑事の張り込みはこれだと思っていました』との答えだったそうです」。「あんパンと牛乳」伝説は今も生きている。 (まいどなニュース・北村泰介)

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