使える英語 討論で学べ 論理的思考力の鍛錬も 6高校32人が研修

城南高校であった英語ディベート研修。即興を目指すが、高校生たちはまだ、一度紙に文章化して読み上げる段階だ 拡大

城南高校であった英語ディベート研修。即興を目指すが、高校生たちはまだ、一度紙に文章化して読み上げる段階だ

 日本式受験英語ではなく、「使える英語」の習得に向け、学校対抗形式の高校生ディベート(討論)が8日、福岡市城南区の城南高校であり、九州・山口の6校から32人が参加した。討論はまだぎこちないが、語学力ばかりでなく、論理的思考力やプレゼンテーション(発表表現)力の鍛錬にもなっているようだった。

 この日まず、生徒たちに与えられた論題は〈Automatic vehicle is better than human driving〉(車は、人間が運転するよりも自動運転の方が良い)。

 生徒たちは6人と4人のグループに分かれ、A高が肯定側、B高が否定側に立つ。チーム内で主張、反論、質問などの役割分担を決め、討論していく。ジャッジ(議長)役の大学生が司会・助言し、主張の内容や分かりやすさを総合評価して勝敗を判定する。

 あるグループでは、肯定派の高校が「居眠り、飲酒運転などの事故を防ぐ」「障害者支援につながる」と主張。反対派に回った高校は「事故責任はどうなるのか」「バスや鉄道など、公共交通機関の雇用を奪うことになるのではないか」などと反論した。

 生徒たちには〈human error〉(人為的ミス)など、議論のキーワードを記したプリントが配られ、電子辞書も持参していたが、いざ発表しようとすると…。

 昨年、韓国の高校生との交流を機に、英会話を磨きたいと受講した城南高1年の三宅有紗さんは「反論しようと思っても、焦って、なかなか英語が出てこない」と話した。

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 講師役を務めたのは、大阪府立大学の中川智皓(ちひろ)助教で、人間工学が専門のリケジョ(理系女子)。留学経験はなく、海外での学会で論文発表や討論を重ねるうち、英会話を上達させていったという。東大大学院在学中の2005年、英語ディベート部を創設したことで知られる。

 研修スタイルは、英国議会の党首討論をモデルにしている。質問をする際、片手を頭に当て、挙手するルールは、かつらが落ちないよう議員たちがしていたポーズをまねているそうだ。

 昨年から城南高で始めた研修は3回目。論題が面白い。「コンビニの深夜営業」「美容整形」「あだ名」の是非などで、いずれも賛否が分かれる。生徒たちが意見を主張したくなるような状況に追い込み、知らず知らずのうちに英会話の技能を上達させようとしているようだ。

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 この研修、先生たちも別教室で受講した。新学習指導要領に基づき、高校では13年度から、英語教師たちには原則、英会話を使った授業が求められるようになったからだ。多くの高校が、受験対策の文法をこれまで通り指導しながらも、「コミュニケーション英語」として、英会話授業に取り組んでいるという。

 論題は〈We should introduce compulsory voting〉(強制投票制を導入すべきだ)。

 「こういうことを言いたいんですがね…」と、男性教諭が頭を抱える。香住丘高校の徳永拓也教諭(28)は「教師が教えるばかりでなく、生徒が英語を話す時間をいかに増やすか、工夫が必要だと思った」。

 指導にあたった中川助教は「論理的、かつ魅力的に人の心を動かすような伝え方とは何か。それは、論文のタイトル、構成などにもつながっていく」。英語教育見直しの視点に、こうした理系の発想も一石を投じているようだった。

=2014/02/25付 西日本新聞朝刊=

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